犬の息が荒い・呼吸が速い原因は?病院へ行くべき危険なサインと自宅での対処法
Table of Contents
- まずは確認!すぐに動物病院へ行くべき危険なサイン
- 舌の色が紫・白っぽい(チアノーゼ・貧血)
- 横になれない・首を伸ばして呼吸している(努力呼吸)
- ぐったりしている・呼びかけに反応が薄い
- 犬の息が荒い(パンティング)のはなぜ?病気以外の主な原因
- 体温調節のための生理的なパンティング
- 運動後や興奮・ストレスによる一時的な変化
- 「ハアハア」が止まらない場合に考えられる病気
- 夏場に最も注意したい「熱中症」
- 咳やゼーゼー音が気になる「呼吸器の病気」
- シニア犬や小型犬に多い「心臓の病気」
- 正常な呼吸数は?異常を見分けるチェックポイント
- 愛犬の呼吸数の正しい測り方
- 【表で解説】安静時の正常な呼吸数目安
- 特に注意が必要なケース|短頭種・子犬・老犬
- パグやフレンチブルドッグなどの「短頭種」
- 体力が低い「子犬」や「老犬(シニア犬)」
- 自宅でできる応急処置と受診時のポイント
- 呼吸を楽にするための環境づくりと応急処置
- 動物病院を受診する際に伝えるべきこと
- 犬の息が荒いことに関するよくある質問
- まとめ:愛犬の呼吸の変化に気づいたら早めの相談を
- 愛犬の舌が紫色や白っぽい場合、または横になれずに苦しそうな姿勢をとる場合は、緊急性が高いためすぐに動物病院へ連絡してください。
- 犬が口を開けてハアハアする「パンティング」は体温調節のための生理現象であることが多いですが、安静時でも続く場合は病気の可能性があります。
- 正常な呼吸数は1分間に15〜30回程度です。愛犬の平常時の呼吸数を知っておくことで、異常にいち早く気づくことができます。
- 短頭種やシニア犬、子犬は呼吸器トラブルや体調急変のリスクが高いため、日頃から特に注意深い観察が必要です。
「愛犬の息がいつもより荒い気がする」「ハアハアと苦しそうにしているけれど、様子を見ても大丈夫?」
大切な家族である愛犬が、普段と違う呼吸をしていたら、とても不安になりますよね。犬は言葉を話せない分、呼吸の変化は体の不調を伝える重要なサインかもしれません。暑さや運動の後であれば生理的な反応であることが多いですが、中には一刻を争う病気が隠れているケースもあります。
この記事では、すぐに動物病院へ行くべき危険なサインから、自宅でできる呼吸数の測り方、考えられる原因と対処法までをわかりやすく解説します。愛犬の命を守るための正しい判断ができるよう、ぜひ参考にしてください。
まずは確認!すぐに動物病院へ行くべき危険なサイン

愛犬の息が荒いとき、飼い主さんが最も知りたいのは「今すぐ病院に行くべきかどうか」という緊急性ではないでしょうか。犬の呼吸状態には、様子を見ても良いものと、命に関わる危険なものが存在します。
もし、以下の解説する症状が一つでも当てはまる場合は、自宅での様子見は危険です。ためらわずに動物病院へ連絡し、獣医師の指示を仰いでください。愛犬のSOSを見逃さないために、まずはこのチェックポイントを確認しましょう。
舌の色が紫・白っぽい(チアノーゼ・貧血)
愛犬の口の中や舌の色を確認してください。健康な犬の舌はきれいなピンク色をしていますが、もし紫色や青紫色(チアノーゼ)に変色している場合は、血液中の酸素が極端に不足している危険な状態です。呼吸がうまくできず、窒息に近い状態に陥っている可能性があります。
また、舌や歯茎が白っぽく(蒼白)なっている場合は、貧血やショック状態(血圧低下)を起こしている疑いがあります。内臓からの出血や重度の循環不全など、目に見えない場所で深刻なトラブルが起きているかもしれません。舌の色がおかしいと感じたら、呼吸が荒い原因にかかわらず、一刻も早い処置が必要です。
横になれない・首を伸ばして呼吸している(努力呼吸)
犬が「横になりたくてもなれない」様子を見せているときは要注意です。通常、犬はリラックスすれば座ったり伏せたりしますが、呼吸が苦しいときは、胸を圧迫しないように前足を踏ん張って立ち続けたり、お座りの姿勢のまま動けなくなったりすることがあります。
特に注意したいのが、首を前方にまっすぐ伸ばし、肘を外側に広げてハアハアと呼吸をしている姿勢です。これは「起座呼吸(きざこきゅう)」や「努力呼吸」と呼ばれ、肺や気管支、心臓などに重い障害があり、必死に空気を取り込もうとしているサインです。この状態で無理に動かしたり、抱きしめたりすると呼吸が止まってしまう恐れもあるため、非常に慎重かつ迅速な対応が求められます。
ぐったりしている・呼びかけに反応が薄い
息が荒いだけでなく、意識レベルに変化が見られる場合も緊急事態です。名前を呼んでも反応が鈍い、視線が定まらない、あるいは完全にぐったりして力が入らないといった状態は、脳に十分な酸素が行き渡っていないか、熱中症や重度の脱水症状などで体の機能が限界を迎えている可能性があります。
また、呼吸が荒い状態から急に静かになった場合も、回復したのではなく、呼吸をする体力すらなくなってしまった危険な兆候であるケースがあります。「眠ったのかな?」と自己判断せず、少しでも意識状態におかしな点があれば、すぐに獣医師に相談してください。
犬の息が荒い(パンティング)のはなぜ?病気以外の主な原因

犬が「ハアハア」と口を開けて速い呼吸をすることを「パンティング」と呼びます。この行動自体は犬にとって自然な生理現象であり、すべてが病気というわけではありません。まずは、病気以外でよく見られる主な原因について理解しておきましょう。
体温調節のための生理的なパンティング
犬は人間のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。肉球などごく一部でしか発汗できないため、代わりに口を大きく開けてハアハアと呼吸をし、唾液を蒸発させることで体内の熱を逃がしています。これがパンティングの主な役割です。
気温が高い日や、暖房の効いた部屋にいるときに見られるパンティングは、体温調節のための正常な反応であることがほとんどです。この場合、涼しい場所に移動して水を飲み、体温が下がれば自然と呼吸は落ち着きます。ただし、涼しくしても呼吸が荒いまま治まらない場合は、熱中症などのトラブルを疑う必要があります。
運動後や興奮・ストレスによる一時的な変化
ドッグランで走り回った後や、お散歩から帰ってきた直後に息が荒くなるのは、筋肉が酸素を多く必要としているためで、生理的な反応です。通常は休息をとれば数分から数十分程度で元の呼吸に戻ります。
また、犬は感情の変化によっても呼吸が速くなります。飼い主さんが帰宅して嬉しくて興奮しているときや、逆に動物病院や雷の音などで強い恐怖やストレスを感じているときにもパンティングが見られます。これらは一時的なものであり、原因となる刺激がなくなれば落ち着くのが特徴です。愛犬がどのような状況で息が荒くなっているか、前後の状況をよく観察してみましょう。
「ハアハア」が止まらない場合に考えられる病気

生理的なパンティングとは異なり、安静にしているのに息が荒い、涼しい場所にいても治まらない、あるいは苦しそうな音が混じるといった場合は、病気が隠れている可能性があります。ここでは、呼吸の変化を引き起こす代表的な病気について解説します。
夏場に最も注意したい「熱中症」
高温多湿な日本の夏において、最も警戒すべきなのが熱中症です。体温調節の限界を超えて体温が上昇し、全身の臓器にダメージを与えます。初期段階では激しいパンティングが見られますが、進行すると大量のよだれ、ふらつき、嘔吐、下痢などの症状が現れます。
さらに重症化すると、呼吸が浅く速くなり、粘膜が赤黒くなったり、意識を失ったりして命に関わります。真夏の日中だけでなく、湿度の高い日や閉め切った室内、車内でも発生します。熱中症は時間との勝負ですので、「暑さのせいかな?」と軽く考えず、体を冷やすなどの応急処置を行いながら急いで病院へ向かう必要があります。
咳やゼーゼー音が気になる「呼吸器の病気」
呼吸の通り道である気管や肺にトラブルがあると、息が荒くなります。代表的なものに「気管虚脱」があります。これは気管が押しつぶされて変形してしまう病気で、呼吸時に「ガーガー」とガチョウが鳴くような音がするのが特徴です。小型犬や肥満気味の犬によく見られます。
また、「肺炎」や「気管支炎」を起こしている場合も、酸素交換がうまくいかずに呼吸数が増え、咳が出たり発熱したりします。鼻の穴が狭い短頭種では「短頭種気道症候群」により、常に呼吸がしづらく、いびきやズーという呼吸音が混じることがあります。呼吸音に雑音が混じる場合は、呼吸器系の疾患を疑いましょう。
シニア犬や小型犬に多い「心臓の病気」
高齢の犬や小型犬(チワワ、トイプードルなど)で息が荒い場合に多く見られるのが、心臓の病気です。特に「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」は、心臓の弁がうまく閉じずに血液が逆流してしまう病気で、進行すると「肺水腫」という恐ろしい状態を引き起こします。
肺水腫になると肺に水がたまり、溺れているような苦しさから激しい呼吸困難に陥ります。運動していないのに息が荒い、夜になると咳が出る、疲れやすくなったといった症状は心臓病のサインかもしれません。心臓病は早期発見と投薬による管理が重要ですので、シニア期に入ったら定期的な聴診などのチェックを受けることが大切です。
正常な呼吸数は?異常を見分けるチェックポイント

「息が荒い気がするけれど、これが普通なのかわからない」と迷ったとき、客観的な判断材料となるのが「呼吸数」です。愛犬の平常時の呼吸数を知っておくことで、異常があった際にすぐに気づくことができます。
愛犬の呼吸数の正しい測り方
呼吸数は、愛犬がリラックスして寝ているときや、安静にしている状態で測定します。運動直後や興奮しているときは正確な数値が測れないため避けてください。
測定方法は簡単です。犬の胸やお腹が「膨らんで、戻る」という動きを1回とカウントします。これを1分間数え続けます。もし1分間じっとしているのが難しい場合は、15秒間数えてその値を4倍するか、20秒間数えて3倍しても構いません。日頃から、愛犬がリラックスしているときに何度か測って「うちの子の平均値」を把握しておくことをおすすめします。
【表で解説】安静時の正常な呼吸数目安
一般的な犬の安静時の呼吸数は以下の通りです。ただし、個体差や年齢によって多少の幅があります。
|
犬の状態・年齢 |
正常な呼吸数(1分間あたり) |
注意が必要な目安 |
|---|---|---|
|
成犬(安静時) |
15回 〜 30回 |
40回以上 |
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子犬(安静時) |
20回 〜 35回 |
50回以上 |
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睡眠中 |
10回 〜 25回 |
30回以上 |
もし、安静時や睡眠中であるにもかかわらず、1分間の呼吸数が40回を超えるようであれば、何らかの異常が起きている可能性が高いといえます。継続して速い場合は、動画を撮影して獣医師に見せると診断の助けになります。
特に注意が必要なケース|短頭種・子犬・老犬

すべての犬で呼吸の変化には注意が必要ですが、犬種や年齢によっては、構造的・体力的な理由から特にリスクが高いケースがあります。以下のタイプに当てはまる場合は、より慎重な観察と早めの対応を心がけてください。
パグやフレンチブルドッグなどの「短頭種」
パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、シーズーなどの鼻が短い犬種(短頭種)は、生まれつき鼻の穴が狭かったり、喉の奥の構造が垂れ下がっていたりすることが多く、呼吸がしにくい体のつくりをしています。
そのため、他の犬種に比べてパンティングによる体温調節が苦手で、熱中症になるリスクが非常に高いのが特徴です。少しの運動や興奮でもすぐに息が荒くなりやすく、一度呼吸困難に陥ると急激に悪化することがあります。「いつものことだから」と油断せず、呼吸音が大きくなったり、舌の色が変わったりしていないか、こまめにチェックしてあげましょう。
体力が低い「子犬」や「老犬(シニア犬)」
生後まもない子犬や、高齢になったシニア犬は、成犬に比べて体温調節機能が未熟だったり、衰えていたりします。そのため、気温の変化やストレスの影響をダイレクトに受けやすく、あっという間に体調を崩してしまうことがあります。
特に老犬の場合、息が荒い原因が単なる老化ではなく、心臓病や呼吸器疾患、あるいは痛みによるものであるケースが多く見られます。「年だから仕方ない」と見過ごしてしまうと、病気の発見が遅れることにもなりかねません。子犬の場合は、低血糖や感染症による発熱で呼吸が速くなることもあります。どちらも体力が低いため、異変を感じたら早めに動物病院へ相談することが重要です。
自宅でできる応急処置と受診時のポイント

愛犬の息が荒く、様子がおかしいと感じたとき、飼い主さんが自宅でできることと、病院へ行く際の準備について解説します。焦ってしまう場面ですが、落ち着いて行動することが愛犬を助けることにつながります。
呼吸を楽にするための環境づくりと応急処置
まずは、愛犬を涼しく静かな場所に移動させましょう。室温を下げ、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させます。熱中症の疑いがある場合は、保冷剤をタオルで巻き、首元や脇の下、内股などを冷やして体温を下げる手助けをしてください。ただし、冷やしすぎには注意が必要です。
呼吸が苦しそうなときは、胸やお腹を圧迫しないよう、ゆったりとした姿勢を取らせます。首輪や洋服がきつい場合は外してあげましょう。意識があり、水が飲める状態であれば、少量の水を飲ませて水分補給を促しますが、無理やり飲ませると誤嚥(ごえん)して肺炎の原因になるため、絶対に無理強いはしないでください。
動物病院を受診する際に伝えるべきこと
動物病院を受診する際は、獣医師に正確な情報を伝えることがスムーズな診断につながります。以下のポイントをメモしておくと良いでしょう。
- いつから息が荒いか:症状が始まった日時やきっかけ(運動後、食事後など)。
- どのような呼吸か:「ハアハア」と速いのか、「ゼーゼー」と音がするのか。
- その他の症状:咳、嘔吐、下痢、ふらつき、食欲不振などがあるか。
- 既往歴や投薬状況:現在治療中の病気や飲んでいる薬があるか。
また、口頭で説明するのが難しい呼吸の様子は、スマートフォンで動画を撮影して持参するのが最も確実です。自宅での様子を獣医師が直接確認できるため、非常に貴重な判断材料となります。
犬の息が荒いことに関するよくある質問

寝ているときに呼吸が速くなるのは異常ですか?
犬は夢を見ているとき(レム睡眠時)に、呼吸が不規則になったり速くなったり、足をピクピクさせたりすることがあります。これは生理的な現象であることが多いですが、起きた後も呼吸が荒い場合や、苦しそうに起きる場合は病気の可能性があります。呼吸数を測り、安静時でも毎分30〜40回を超えるようであれば受診を検討してください。
震えながらハアハアしているのはなぜですか?
震えとパンティングが同時に見られる場合、痛み、恐怖、寒さ、または発熱などが考えられます。ヘルニアなどの強い痛みがある場合や、雷などの恐怖体験、あるいは中毒症状の可能性もあります。原因が特定できない場合や震えが止まらない場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
夜になると息が荒くなるのはなぜですか?
夜間に呼吸が荒くなったり咳が出たりする場合、心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)や気管虚脱の可能性があります。夜は副交感神経が優位になり気管支が狭くなりやすいことや、横になることで心臓や肺への負担が変わることが関係しています。こうした症状は病気のサインであることが多いため、早めの受診をおすすめします。
まとめ:愛犬の呼吸の変化に気づいたら早めの相談を
犬の息が荒い原因は、暑さや運動といった生理的なものから、心臓や呼吸器の病気、熱中症といった命に関わるものまで様々です。大切なのは、「いつもと違う」という飼い主さんの直感と、呼吸数や舌の色といった客観的な観察です。
「少し様子を見ようかな」と迷ったときこそ、呼吸数を測ったり、動画を撮ったりして、動物病院に電話で相談してみることをおすすめします。早期の対応が、愛犬の苦痛を取り除き、健康な生活を守るための第一歩となります。
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