スコティッシュフォールドの病気ガイド|飼い主さんが知っておきたい症状・予防・ケア方法

スコティッシュフォールドの病気ガイド|飼い主さんが知っておきたい症状・予防・ケア方法

Table of Contents

  • スコティッシュフォールドは遺伝的に「骨軟骨異形成症」などの関節疾患にかかりやすい猫種です。
  • 「スコ座り」や歩き方の変化は、関節の痛みや異常のサインである可能性があります。
  • 肥大型心筋症や尿路結石など、関節以外の内臓疾患にも注意が必要です。
  • 滑りにくい床材への変更や体重管理など、家庭でのケアが愛猫のQOL(生活の質)を守ります。
  • 治療は長期にわたることが多いため、ペット保険の検討や費用の備えが大切です。

愛くるしい折れ耳と丸い顔が魅力のスコティッシュフォールド。その可愛さに癒やされる一方で、「スコティッシュフォールドは病気が多い」「遺伝的な病気にかかりやすい」といった話を耳にして、不安を感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。「もし愛猫が痛がっていたらどうしよう」「初期症状に気づけるだろうか」という心配は、愛情が深いからこそ生まれるものです。

この記事では、スコティッシュフォールドがかかりやすい主な病気の特徴や、飼い主さんが日々の暮らしの中で気づけるサイン、そしてお家でできる具体的なケア方法について、専門的な知識をわかりやすく解説します。正しい知識を持つことは、愛猫の健康と幸せな時間を守るための第一歩です。

スコティッシュフォールドがかかりやすい主な病気と特徴

スコティッシュフォールドは、その最大の特徴である「折れ耳」が、実は軟骨の形成異常という遺伝的な特徴に由来しています。そのため、他の猫種に比べて、骨や関節に関わる病気のリスクが高い傾向にあります。愛猫と長く健やかに暮らすためには、まずこの猫種がどのような病気にかかりやすいのか、その傾向を正しく理解しておくことが大切です。

特に注意が必要なのは、遺伝性疾患である「骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)」です。これはスコティッシュフォールドの飼い主さんであれば、必ず知っておくべき病気の一つです。また、純血種全般に見られる「肥大型心筋症」や、猫全般の悩みである「尿路結石」「腎臓病」、そして折れ耳という形状ゆえの「外耳炎」なども挙げられます。

「病気」と聞くと怖くなってしまうかもしれませんが、どのようなリスクがあるかを知っておくことで、日々の観察ポイントが明確になり、早期発見や発症後の適切なケア(サポート)につなげることができます。ここでは、それぞれの病気について詳しく見ていきましょう。

骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう):関節の痛みと変形

スコティッシュフォールドを飼う上で最も警戒すべき病気が「骨軟骨異形成症」です。これは、耳が折れる原因となっている軟骨の形成異常が、耳だけでなく全身の関節の軟骨にも影響を及ぼしてしまう病気です。成長期から成猫になる過程で発症することが多く、一度発症すると完治することは難しいため、生涯にわたって痛みと付き合っていく必要があります。

主な症状としては、手首や足首(特にかかと)、尻尾の関節などに「骨瘤(こつりゅう)」と呼ばれる骨のコブができ、関節が腫れたり変形したりします。これにより慢性的な痛みが生じ、歩くのを嫌がるようになったり、高いところに登らなくなったりします。重症化すると、歩行が困難になるケースもあります。

この病気は、命に直結するものではありませんが、愛猫のQOL(生活の質)を大きく低下させる要因となります。そのため、早期に痛みに気づき、環境を整えたり、獣医師と相談して痛みを和らげるケアを行ったりすることが非常に重要です。

なぜ発症するの?折れ耳と遺伝の関係

「骨軟骨異形成症」は、スコティッシュフォールドの「折れ耳」を作り出す遺伝子と密接に関係しています。実は、耳が折れているということは、耳の軟骨が硬くならずに柔らかい状態(形成不全)であることを意味しており、この遺伝的な影響が手足の関節にも現れることで病気が発症します。

一般的に、折れ耳のスコティッシュフォールドは、この病気を発症するリスクが非常に高いとされています。遺伝子の組み合わせによって症状の重さは異なりますが、折れ耳である以上、潜在的なリスクを持っていると考えたほうがよいでしょう。一方で、立ち耳のスコティッシュフォールドであっても、同じ遺伝子を保有している場合があり、発症リスクがゼロというわけではありません。遺伝的な背景を理解し、「いつか症状が出るかもしれない」という意識を持って見守ることが大切です。

代表的な症状:歩き方の変化や「スコ座り」

飼い主さんが気づきやすいサインとして、歩き方や座り方の変化が挙げられます。関節に痛みがあるため、足をかばうようにヒョコヒョコと歩いたり、以前よりも動きがゆっくりになったりすることがあります。また、尻尾の関節が固まってしまい、触ると痛がったり、尻尾を振らなくなったりすることもあります。

スコティッシュフォールド特有の座り方として知られる「スコ座り(おじさん座り)」も、実は注意が必要です。足を投げ出して座るこの姿勢は、とても可愛らしいものですが、実は「股関節や膝、足首の関節が痛むため、通常の座り方が辛くて足を伸ばしている」というケースが少なくありません。もちろん、単にリラックスしているだけの場合もありますが、頻繁にスコ座りをするようになったり、歩き方に違和感を感じたりした場合は、関節の痛みを疑ってみる必要があります。

肥大型心筋症(HCM):心臓の筋肉が厚くなる病気

「肥大型心筋症(HCM)」は、心臓の筋肉(心筋)が内側に向かって分厚くなってしまう心臓病です。心筋が厚くなると心臓の部屋が狭くなり、一度に送り出せる血液の量が減ってしまいます。その結果、全身に血液を送るために心臓に大きな負担がかかり、最終的には心不全を引き起こす可能性があります。

この病気の怖いところは、初期段階では目立った症状がほとんどないことです。元気そうに見えても病気が進行していることがあり、ある日突然、呼吸困難や後ろ足の麻痺(血栓が詰まることによる動脈血栓塞栓症)を起こして緊急事態になることもあります。スコティッシュフォールドは、この肥大型心筋症の好発品種の一つとされています。

早期発見のためには、定期的な健康診断で聴診や超音波検査(エコー検査)を受けることが最も有効です。特にシニア期に入る前から、年に1回は心臓のチェックを受けることをおすすめします。

尿路結石症・腎臓病:おしっこのトラブル

スコティッシュフォールドに限らず、猫全般がかかりやすいのが「尿路結石症(尿石症)」や「腎臓病」といった泌尿器系のトラブルです。猫はもともとあまり水を飲まない動物であり、尿が濃くなりやすいため、膀胱や尿道に結石ができやすい傾向があります。

尿路結石ができると、頻繁にトイレに行くのにおしっこが少ししか出ない、排尿時に痛がって鳴く、血尿が出るといった症状が見られます。特にオス猫の場合、尿道が狭いため結石が詰まりやすく、尿が出なくなる「尿道閉塞」を起こすと命に関わる危険な状態になります。

また、高齢になると慢性腎臓病のリスクも高まります。多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっこをたくさんする)は腎臓病の初期サインです。日頃からおしっこの回数や量、色をチェックし、異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。

外耳炎:折れ耳だからこそ注意したい耳の病気

チャームポイントである「折れ耳」は、通気性が悪くなりやすいというデメリットも抱えています。耳の蓋が閉じているような状態のため、耳の中に湿気がこもりやすく、細菌や真菌(カビの一種)、耳ダニなどが繁殖しやすい環境になっています。

外耳炎になると、耳垢が黒っぽく湿った状態になったり、耳から嫌なニオイがしたりします。また、猫自身が耳を激しく掻いたり、頭を振ったりする仕草が見られるようになります。放置すると炎症が奥まで広がり、中耳炎や内耳炎へと進行して平衡感覚に異常をきたすこともあるため注意が必要です。

折れ耳のスコティッシュフォールドの場合、飼い主さんによる定期的な耳のチェックとケアが欠かせません。ただし、綿棒で奥まで掃除しすぎると逆に耳を傷つけてしまうこともあるため、汚れが見えたら優しく拭き取る程度にし、定期的に獣医師に診てもらうのが安心です。

「いつもと違う?」と思ったら:早期発見のためのチェックリスト

愛猫の健康を守るために最も大切なのは、飼い主さんによる「日々の観察」です。猫は痛みを隠す習性があるため、病気のサインは些細な行動の変化として現れることが多いのです。「なんとなく元気がないかも?」「いつもと動きが違う気がする」という飼い主さんの直感は、多くの場合当たっています。

特にスコティッシュフォールドの場合、関節の痛みは徐々に進行するため、変化に気づきにくいことがあります。以下のチェックリストを参考に、愛猫の様子をこまめに確認してみてください。一つでも当てはまる項目があれば、早めに動物病院で相談することをおすすめします。

行動の変化:ジャンプしなくなった、触ると嫌がる

関節の痛みがある場合、猫はできるだけ体に負担がかからないように行動を制限し始めます。以前は軽々と登っていたキャットタワーやソファに登らなくなったり、ジャンプの際にためらうような素振りを見せたりしていませんか?

  • 高い場所に登らなくなった、または降りるのを怖がる
  • 遊ぶ時間が減り、寝ている時間が増えた
  • 階段の上り下りを嫌がる
  • 抱っこしようとすると嫌がる、怒る
  • 体を触られるのを避けるようになった
  • 爪切りやブラッシングを極端に嫌がるようになった(関節を曲げると痛いため)

これらは「年齢のせいでおとなしくなった」と勘違いされやすいですが、実は痛みのサインである可能性が高いです。

外見の変化:手足のコブ、耳の汚れ

見た目や触った感触でわかる変化もあります。スキンシップを兼ねて、定期的に体を優しく触ってチェックしましょう。

  • 手首や足首(特にかかと部分)に硬いコブのような腫れがある
  • 尻尾の付け根や関節が太く硬くなっている
  • 尻尾の動きが悪く、柔軟性がない(板のように硬い)
  • 耳の中が黒い耳垢で汚れている
  • 耳から酸っぱいような異臭がする
  • 毛並みが悪くなった(痛くてグルーミングができないため)

排泄のサイン:トイレの回数や量

トイレの様子は、内臓疾患の重要なバロメーターです。トイレ掃除の際は、排泄物の状態をよく観察する癖をつけましょう。

  • おしっこの回数が急に増えた、または減った
  • 1回のおしっこの量が極端に少ない、または多い
  • おしっこの色が赤い、またはピンク色(血尿)
  • トイレ以外の場所で粗相をするようになった(トイレの段差が辛い、または間に合わない)
  • 排泄時に痛そうに鳴く

愛猫のQOL(生活の質)を守る!毎日のケアと予防策

スコティッシュフォールドがかかりやすい病気、特に遺伝的な関節疾患は、残念ながら完全に予防したり完治させたりすることが難しいのが現状です。しかし、だからといって飼い主さんにできることがないわけではありません。日々の生活環境を整え、適切なケアを行うことで、病気とうまく付き合いながら、穏やかな毎日をサポートしてあげることが可能です。

ここでは、愛猫のQOL(生活の質)を維持・向上させるために、家庭で実践できる「お部屋づくり」と「食事管理」のポイントをご紹介します。これらは病気のケアだけでなく、将来的な健康維持のサポートにも役立ちます。

足腰への負担を減らす「お部屋づくり」のポイント

関節が弱いスコティッシュフォールドにとって、滑りやすいフローリングの床は大きな負担となります。足が滑ると関節に余計な力がかかり、炎症を悪化させる原因になりかねません。まずは床材を見直すことから始めましょう。

  • 滑りにくいマットを敷く: クッション性のあるジョイントマットやカーペットを敷き詰め、足腰への衝撃を和らげます。

  • 段差を減らす: キャットタワーは低めのものを選ぶか、ステップ(階段)を設置して、ジャンプしなくても登れるように工夫します。ソファやベッドへの上り下りにもスロープをつけると親切です。

  • トイレや食器の工夫: トイレは入り口の段差が低いバリアフリータイプを選びましょう。また、食器台を使って食事の位置を高くすることで、首や前足への負担を減らし、楽な姿勢で食べられるようにサポートします。

健康維持をサポートする「食事」と体重管理

体重管理は、関節ケアにおいて最も重要な要素の一つです。体重が増えれば増えるほど、それを支える手足の関節には大きな負荷がかかります。肥満は関節炎の痛みを増幅させるだけでなく、心臓病や糖尿病のリスクも高めてしまいます。

愛猫の適正体重を把握し、カロリーオーバーにならないよう食事量をコントロールしましょう。おやつを与えすぎないことも大切です。また、関節の健康維持に役立つ成分(グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸など)が含まれたフードやサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。ただし、サプリメントはあくまで健康を「サポート」するものです。使用する際は、かかりつけの獣医師に相談し、愛猫の体質に合ったものを選ぶようにしましょう。

治療と向き合うために:費用の目安とペット保険

愛猫が病気になったとき、飼い主さんを悩ませるのが「治療費」の問題です。特にスコティッシュフォールドの骨軟骨異形成症のような慢性疾患は、生涯にわたって通院や投薬が必要になることが多く、トータルの費用は高額になりがちです。また、突発的な入院や手術が必要になるケースも考えられます。

「お金がなくて十分な治療を受けさせてあげられない」という事態を避けるためにも、あらかじめ費用の目安を知り、経済的な備えをしておくことは、飼い主としての責任であり愛情でもあります。

通院・入院・手術にかかる費用の相場

動物病院の診療費は自由診療のため、病院によって料金設定は異なりますが、一般的な目安として以下のような費用がかかることが想定されます。

項目

費用の目安(1回あたり)

備考

初診・再診料

1,000円〜3,000円

 

レントゲン検査

3,000円〜10,000円

枚数や部位による

血液検査

5,000円〜15,000円

検査項目数による

エコー検査(心臓など)

3,000円〜8,000円

 

内服薬(1週間分)

2,000円〜5,000円

鎮痛剤やサプリメントなど

入院(1泊)

3,000円〜10,000円

処置料・室料含む

手術(尿路結石など)

100,000円〜300,000円

麻酔・入院費含む場合も

例えば、関節の痛み止めを毎月処方してもらうだけでも、年間で数万円〜十数万円の出費になる可能性があります。

高額な治療費に備えるペット保険の必要性

このように、継続的な治療や突発的な手術にはまとまった費用が必要です。そこで検討したいのが「ペット保険」です。ペット保険に加入していれば、治療費の50%〜70%程度が補償されるため、経済的な負担を大幅に軽減できます。

ただし、スコティッシュフォールドの場合、加入時に注意が必要です。保険会社によっては、「骨軟骨異形成症」などの遺伝性疾患を補償対象外としているプランや、すでに症状が出ている場合は加入できないケースがあります。愛猫が若く健康なうちから、遺伝性疾患もカバーされる保険を選んで加入しておくことが、将来の安心につながります。

スコティッシュフォールドの病気に関するよくある質問

ここでは、スコティッシュフォールドの飼い主さんからよく寄せられる質問についてお答えします。

 

立ち耳のスコティッシュフォールドなら、骨軟骨異形成症にはなりませんか?

 

立ち耳であっても、発症する可能性はゼロではありません。折れ耳の個体に比べると発症リスクは低い、あるいは症状が軽度である傾向にありますが、同じ遺伝的背景を持っているため注意が必要です。定期的な健康チェックをおすすめします。

 

 

 

骨軟骨異形成症はいつ頃から発症しますか?

 

早ければ生後数ヶ月の子猫の時期から発症することがあります。多くの場合は成長期に症状が現れ始めますが、成猫になってから気づくケースもあります。歩き方の異常や関節のコブなどは、年齢に関わらず注意深く観察してください。

 

 

 

遺伝性の病気は治すことができますか?

 

残念ながら、遺伝子の異常による病気を根本的に「治す(完治させる)」治療法は現在のところ確立されていません。治療の主な目的は、痛み止めや環境改善によって症状を緩和し、進行を遅らせ、猫が苦痛なく生活できるようにサポートすること(対症療法)になります。

 

 

まとめ:正しい知識で愛猫との幸せな時間を守りましょう

スコティッシュフォールドは、遺伝的な病気のリスクを抱えやすい猫種であることは事実です。しかし、だからといって過度に恐れる必要はありません。大切なのは、飼い主さんが正しい知識を持ち、「早期発見」と「適切なケア」を行うことです。

日々の観察で小さな変化に気づき、お部屋の環境を整え、獣医師と連携しながらサポートしてあげることで、愛猫は穏やかで幸せな生涯を送ることができます。あなたの深い愛情とケアこそが、愛猫にとって何よりの特効薬です。不安なことがあれば一人で抱え込まず、動物病院で相談しながら、愛猫とのかけがえのない時間を大切に過ごしてください。

◆関連記事
猫の適正体重は?肥満・痩せすぎのサインと自宅でできる体重管理法

記事一覧に戻る