犬が血尿でも元気はある…様子見は危険?考えられる病気と対処法

犬が血尿でも元気はある…様子見は危険?考えられる病気と対処法

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  • 愛犬に元気や食欲があっても、血尿が出ている時点で体内で何らかの異常が起きている可能性が高いです。
  • 犬は本能的に痛みを隠す動物であるため、「元気だから大丈夫」という自己判断はリスクを伴います。
  • 主な原因には膀胱炎や尿路結石、シニア犬では腫瘍などが考えられ、早期発見が治療の負担軽減につながります。
  • 受診時は、可能な範囲で尿を持参したり、排尿時の様子を動画で撮影したりすると診断がスムーズです。
  • 血尿の色や頻度、飲水量の変化などをメモし、早めに動物病院へ相談しましょう。

「愛犬のおしっこに血が混じっている気がする…でも、本人はすごく元気そうだし、ご飯も食べている。」

ふとした瞬間に愛犬のトイレシートを見て、ドキッとした経験はありませんか?元気にお散歩に行き、おやつもねだる愛犬の姿を見ると、「一時的なものかな?」「様子を見てもいいのかな?」と迷ってしまう飼い主様も少なくありません。

しかし、言葉を話せないワンちゃんにとって、尿の異変は体からの重要なSOSサインです。たとえ元気に見えても、体の中では治療が必要な病気が進行している可能性があります。この記事では、元気があるのに血尿が出る理由や考えられる病気、そして動物病院を受診する前に飼い主様ができる具体的な準備について、わかりやすく解説します。

元気があっても「血尿」は異常のサイン!すぐに受診すべき理由

結論からお伝えすると、愛犬にどれだけ元気や食欲があったとしても、血尿が確認された場合は「できるだけ早く動物病院を受診する」ことが推奨されます。

「元気があるなら緊急性はないのでは?」と思われるかもしれませんが、血尿(尿に赤血球が混じる状態)は、健康な犬では通常起こりません。泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)や生殖器、あるいは血液そのものに何らかのトラブルが起きている証拠です。

特に、尿の色が「薄いピンク色」「鮮やかな赤色」「濃い茶色」など、普段と明らかに違う場合は注意が必要です。一見元気そうに見えるのは、病気が初期段階であるか、あるいは犬特有の習性によって不調が見えにくくなっているだけかもしれません。

犬は痛みを隠す動物?「元気だから大丈夫」が危険なワケ

犬の祖先は野生動物であり、自然界では「弱っている姿」を見せることは敵に狙われるリスクを意味しました。そのため、犬には「本能的に痛みや不調を隠そうとする習性」があります。

飼い主様の前で尻尾を振ったり、散歩に行きたがったりするのは、飼い主様を安心させたいという気持ちや、本能的な行動によるものかもしれません。つまり、「元気に見える=痛くない・辛くない」とは限らないのです。

実際に、膀胱炎で排尿時に痛みを感じていたり、結石が膀胱内を傷つけていたりしても、食欲が落ちない子はたくさんいます。「ぐったりしてから病院に行く」のでは、病気がかなり進行してしまっているケースも多いため、目に見える「血尿」というサインを見逃さないことが大切です。

放置するとどうなる?早期発見が重要な理由

「もう少し様子を見よう」と受診を先延ばしにすることで、治療が難しくなったり、愛犬に不要な苦痛を与えてしまったりするリスクがあります。

例えば、細菌性の膀胱炎を放置すると、菌が腎臓へと上行し「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を引き起こすことがあります。腎臓の機能にダメージが及ぶと、全身の状態が悪化し、命に関わることもあります。

また、尿路結石が尿道に詰まってしまう「尿道閉塞」は、おしっこが全く出なくなる緊急事態です。これは短時間で急性腎不全を引き起こし、処置が遅れると命を落とす危険性があります。

早期に受診し、原因を特定して適切なケアを行うことは、愛犬の健康寿命を守るだけでなく、治療費や通院の負担を抑えることにもつながります。

犬の血尿の原因とは?考えられる主な病気

では、元気があるのに血尿が出る場合、具体的にどのような病気が隠れているのでしょうか。血尿の原因は多岐にわたりますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。原因によって治療法や対処法が異なるため、獣医師による診断が不可欠です。

膀胱炎(細菌性・突発性):頻尿やしぶりを伴うことが多い

犬の血尿の原因として非常に多く見られるのが「膀胱炎」です。その多くは、尿道から細菌が入り込んで炎症を起こす「細菌性膀胱炎」です。

膀胱炎になると、膀胱の壁が傷つきやすくなり、尿に血が混じります。特徴的なのは、おしっこの回数が増える「頻尿」や、おしっこが出きった後もポタポタと出そうとする「しぶり(残尿感)」です。

痛みや違和感があるはずですが、初期段階では食欲や元気は変わらないことがほとんどです。特にメスのワンちゃんは尿道が短く太いため、細菌が入りやすく膀胱炎になりやすい傾向があります。また、ストレスなどが原因で起こる「突発性膀胱炎」もあります。

尿路結石症(ストルバイト・シュウ酸カルシウム):シュナウザーやシーズーなどは要注意

尿に含まれるミネラル成分が結晶化し、石のように固まってしまうのが「尿路結石症」です。結石が膀胱や尿道の粘膜を傷つけることで出血し、血尿となります。

代表的な結石には「ストルバイト結石」や「シュウ酸カルシウム結石」があります。結石が小さいうちは、コロコロと膀胱内にあるだけで無症状のこともありますが、大きくなったり数が増えたりすると、頻尿や血尿を引き起こします。

ミニチュア・シュナウザー、シー・ズー、パグ、フレンチ・ブルドッグなどの犬種は、体質的に結石ができやすいと言われています。また、飲水量が少ない子や、おしっこを我慢しがちな子も注意が必要です。

生殖器の疾患(前立腺肥大・子宮蓄膿症):未去勢・未避妊の犬に多い

避妊・去勢手術をしていないワンちゃんの場合、生殖器の病気が血尿の原因になることがあります。

オスの場合は「前立腺肥大」や「前立腺炎」などが挙げられます。肥大した前立腺が出血しやすくなり、尿に血が混じることがあります。排便しづらそうにする様子が見られることもあります。

メスの場合は、子宮に膿が溜まる「子宮蓄膿症」が恐ろしい病気です。陰部から膿混じりの血が出ることがあり、これを血尿と見間違えることがあります。子宮蓄膿症は進行すると命に関わるため、水を飲む量が急に増えたり、陰部を気にしたりする様子があれば、一刻も早い受診が必要です。

腫瘍・ポリープ:シニア犬(高齢犬)で血尿が続く場合

高齢のワンちゃんで、抗生物質などを飲んでも血尿がなかなか治まらない場合、膀胱や尿道、腎臓などに「腫瘍」や「ポリープ」ができている可能性も考慮しなければなりません。

特に「移行上皮癌(いこうじょうひがん)」という膀胱の悪性腫瘍は、血尿が初期症状として現れることが多いです。初期には元気や食欲に変化がないことも多く、膀胱炎と症状が似ているため、発見が遅れることがあります。シニア期に入ったら、定期的なエコー検査などでチェックすることが大切です。

その他(中毒・溶血など):尿の色が濃い・茶色い場合

泌尿器の出血ではなく、血液中の赤血球が壊れてしまう「溶血(ようけつ)」によって尿が赤くなることもあります。これは厳密には血尿ではなく「血色素尿(ヘモグロビン尿)」と呼ばれますが、見た目は赤い尿や濃い茶色の尿になります。

原因としては、タマネギ中毒(ネギ類を食べたことによる中毒)や、マダニが媒介する「バベシア症」などの感染症、免疫介在性溶血性貧血などが考えられます。これらは全身状態に影響を及ぼすため、尿の色が「コーラ色」や「濃い赤褐色」に見える場合は、緊急性が高いと考えてください。

本当に血尿?病院へ行く前に確認したいポイント

トイレシートについた色が赤っぽく見えても、実は血液ではないケースもあります。慌てて病院に駆け込む前に、まずは冷静に状況を確認してみましょう。ただし、判断に迷う場合は「血尿かもしれない」と考えて受診するのが安全です。

食べ物や薬の影響による尿の変色

食べたものや飲んでいるお薬の影響で、尿の色が変わることがあります。例えば、ビタミン剤や特定のサプリメントを摂取した後に、尿が濃い黄色やオレンジ色になることがあります。

また、野菜や果物(ビーツなど色素の強いもの)を大量に食べた場合も、尿の色に影響が出ることが稀にあります。最近、普段と違うものを食べさせたり、新しいお薬やサプリメントを始めたりしていないか振り返ってみましょう。

メス犬のヒート(発情出血)との見分け方

避妊手術をしていないメスのワンちゃんの場合、ヒート(発情期)による出血が尿に混じっている可能性があります。これは生理的な現象であり、病気ではありません。

見分けるポイントとしては、陰部(外陰部)が腫れて大きくなっていないかを確認してください。ヒートの場合は陰部が腫れ、そこから出血が見られます。尿そのものが赤いというよりは、排尿時に陰部の血が混ざったり、ポタポタと床に血が落ちたりする様子が見られます。前回のヒートからどれくらい期間が空いているかも確認してみましょう。

【チェックリスト】受診時に獣医師に伝えるべき情報

動物病院を受診する際、獣医師に正確な情報を伝えることで、診断がよりスムーズになります。以下の項目を事前にメモしておくと良いでしょう。

  • いつから血尿が出ているか:(例:今朝の1回目から、3日前から続くなど)
  • 尿の色:(例:鮮やかな赤、ピンク、茶色、最後だけ赤いなど)
  • 排尿の回数と量:(例:回数が増えた、1回の量が少ない、ポタポタ垂らすなど)
  • 排尿時の様子:(例:痛そうに鳴く、背中を丸める、時間がかかる)
  • 元気・食欲の変化:(例:いつも通り、少し元気がない、水を飲む量が増えた)
  • 誤食の可能性:(例:ネギ類や保冷剤などを食べた可能性はないか)

受診をスムーズにするために飼い主ができる準備

「病院に行こう!」と決めたら、診察をより的確なものにするために、飼い主様ができる準備があります。特に「尿そのもの」は、診断において非常に多くの情報を教えてくれる貴重な材料です。

尿の持ち込み方・採尿のコツ(写真や動画でもOK?)

可能であれば、直近の尿を採取して持参すると、その場ですぐに尿検査ができ、診断の助けになります。

採尿のコツ:

  • ペットシーツを裏返す: 吸水しないツルツルした面を上にしてトイレに敷くと、尿が溜まりやすく、スポイトなどで吸い取りやすくなります。
  • 清潔な容器でキャッチ: お散歩中に排尿する子の場合は、紙皿やウロキャッチャー(採尿器)などをサッと差し出して受け止めます。
  • 清潔な容器に入れる: 採取した尿は、よく洗って乾かした空き瓶や、お弁当用の醤油差し(タレビン)などに入れます。

尿は時間が経つと成分が変化してしまうため、採取から数時間以内に病院へ持っていくのが理想です。もし採尿が難しい場合は、「血尿が出たペットシーツ」をそのままビニール袋に入れて持参したり、「排尿時の様子や尿の色をスマートフォンで撮影した写真・動画」を見せたりするだけでも、獣医師にとっては大きな手掛かりになります。

元気に見えてもここをチェック!隠れた不調のサイン

「元気はある」と思っていても、よく観察すると小さなサインが出ていることがあります。これらは診察時の重要なヒントになります。

  • 陰部を気にして舐めている: 残尿感や違和感、痛みがあるサインかもしれません。
  • お水を飲む量が増えた: 腎臓のトラブルや子宮蓄膿症、ホルモンの病気などの可能性があります。
  • トイレの失敗が増えた: 我慢できずに出てしまっている可能性があります。
  • お腹を触ると嫌がる: 膀胱や腎臓に痛みがある場合、お腹周りを触られるのを避けることがあります。

普段一緒にいる飼い主様だからこそ気づける「なんとなくいつもと違う」という感覚は、非常に大切です。

動物病院での検査内容と治療費の目安

いざ動物病院へ行くとなると、「どんな検査をするの?」「費用はどれくらいかかる?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。一般的な検査の流れと費用のイメージについて解説します。

一般的な検査の流れ(尿検査・エコー・レントゲン)

血尿で受診した場合、まずは問診と触診を行い、その後、以下のような検査を組み合わせて行うのが一般的です。

  • 尿検査: 尿中の成分(pH、タンパク、糖など)や、細菌・結晶・細胞の有無を顕微鏡で確認します。最も基本的で重要な検査です。
  • 超音波(エコー)検査: 膀胱内の結石、腫瘍、膀胱壁の厚さ、腎臓や前立腺の状態などを画像で確認します。痛みはなく、お腹にゼリーを塗ってプローブを当てる検査です。
  • レントゲン検査: 結石の有無や位置、大きさ、臓器の形などを確認します。結石の種類によってはエコーよりもレントゲンで見つけやすいものがあります。

必要に応じて、全身状態を把握するための血液検査を行うこともあります。

治療法と費用のイメージ

治療法は原因によって異なります。

  • 膀胱炎の場合: 抗生物質や消炎剤の投与が中心となります。お薬代と検査費を含め、数千円〜1万円程度が目安となることが多いです。
  • 尿路結石の場合: 食事療法で溶ける石であれば専用の療法食が処方されます。溶けない石や、尿道に詰まっている場合は、カテーテル処置や外科手術が必要となり、費用は数万円〜数十万円になることもあります。

※費用は病院や犬の体重、病状、地域によって大きく異なります。あくまで目安として捉え、詳細は受診する動物病院にご確認ください。ペット保険に加入している場合は、保険が適用されることが多いので証券などを確認しておきましょう。

犬の血尿に関するよくある質問 (FAQ)

Q. 血尿が1回だけで、その後は普通の尿に戻りました。病院に行かなくてもいいですか?

A. 念のため受診することをおすすめします。一時的に出血が止まっただけで、原因(結石や腫瘍など)がなくなっていない可能性があります。また、排尿のタイミングによって血が混ざったり混ざらなかったりすることもあります。「たまたま治った」と判断せず、尿検査を受けて安心を得るのが一番です。

Q. 夜間に血尿に気づきました。朝まで待っても大丈夫ですか?

A. おしっこが全く出ていない(尿道閉塞の疑いがある)場合や、ぐったりしている、嘔吐がある、歯茎が白い(貧血)などの症状がある場合は、夜間救急病院への受診を検討してください。おしっこは出ていて、元気・食欲があり、緊急性が低そうであれば、翌朝一番でかかりつけ医を受診しましょう。

Q. どんなフードを食べさせれば血尿の予防になりますか?

A. 下部尿路の健康維持に配慮したフードを選ぶことも選択肢の一つです。ただし、自己判断でフードを選ぶと逆効果になることもあるため、必ず獣医師に相談して、愛犬の体質に合ったものを選んであげてください。また、新鮮な水をいつでも飲めるようにし、水分摂取量を増やすことも大切です。

まとめ:愛犬の血尿は「元気」に惑わされず早めの相談を

愛犬に血尿が見られたとき、一番大切なのは「元気だから大丈夫」と自己判断しないことです。犬は痛みを我慢する動物であり、元気に見えても体の中でSOSを出している可能性があります。

膀胱炎や結石など、早期に発見できれば、お薬や食事療法で比較的スムーズに改善を目指せる病気も多いです。逆に放置してしまうと、手術が必要になったり、命に関わる状態になったりするリスクも高まります。

「大したことなかったね」と笑って帰れるのが一番の結果です。愛犬の健康を守れるのは、一番近くにいる飼い主様だけです。少しでも不安を感じたら、迷わず動物病院に相談してあげてくださいね。

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