犬がご飯を食べない7つの理由と対処法|病気?わがまま?病院へ行くべき症状も解説
Table of Contents
- まずは落ち着いて確認!犬がご飯を食べない時に考えられる主な理由
- こんな症状はすぐ病院へ!緊急性の高い危険なサイン
- 元気がない・ぐったりしている
- 嘔吐や下痢を繰り返す
- 水を全く飲まない
- 呼吸が苦しそう・様子がおかしい
- 犬がご飯を食べない7つの理由|原因を特定しよう
- 理由①:病気やケガ、体調不良
- 口の中のトラブル(歯周病など)
- 消化器系の病気
- そのほかの内臓疾患や感染症
- 理由②:ストレスや不安
- 環境の変化(引っ越し、新しいペットなど)
- 飼い主とのコミュニケーション不足
- 理由③:フードが気に入らない(好み・飽き)
- 理由④:老化による食欲低下(シニア犬)
- 理由⑤:わがまま・学習によるもの
- 理由⑥:子犬特有の理由(成長期・環境の変化)
- 理由⑦:発情期(ヒート)の影響
- 自宅で試せる!犬の食欲不振への対処法
- フードの与え方を見直す工夫
- フードを温めて香りを立たせる
- ウェットフードやトッピングを試す
- フードの種類を切り替えてみる
- ストレスの原因を取り除き、安心できる環境を整える
- 「わがまま」には毅然とした態度で接する
- 動物病院へ行くべき?判断に迷った時のための目安
- 「様子見OK」と「すぐ受診」の判断基準比較表
- 動物病院で獣医師に伝えるべきポイント
- 犬がご飯を食べない時に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ:愛犬の様子をよく観察し、不安な時は迷わず動物病院へ
- 犬がご飯を食べない原因は、病気だけでなくストレスやフードの好みなど様々です。
- 元気がない、嘔吐・下痢を繰り返す、水を全く飲まないなどの症状は、すぐに動物病院へ行くべき危険なサインです。
- 病気のサインがなければ、フードを温めたりトッピングを試したり、生活環境を見直すなどの対処法を試してみましょう。
- 食欲不振が24時間以上続く場合や、少しでも不安な点があれば、自己判断せず獣医師に相談することが最も大切です。
いつもは喜んでご飯を食べる愛犬が、急にそっぽを向いてしまうと「どこか具合が悪いのかな?」と、とても心配になりますよね。食欲不振は、ささいな理由から、時には病気のサインである可能性もあり、どう対処すれば良いか戸惑ってしまう飼い主さんも少なくありません。
この記事では、犬がご飯を食べない時に考えられる主な原因を7つに分けて詳しく解説します。さらに、自宅で試せる具体的な対処法から、すぐに動物病院へ連れて行くべき危険なサインの見分け方まで、初めての経験で不安な飼い主さんにも分かりやすくガイドします。愛犬の「食べない」理由を正しく理解し、安心して適切な対応ができるようになりましょう。
まずは落ち着いて確認!犬がご飯を食べない時に考えられる主な理由

愛犬がご飯を食べないと、つい焦ってしまいますが、まずは落ち着いて様子を観察することが大切です。食欲不振の原因は一つではありません。単純な「わがまま」やフードへの「飽き」といった一時的なものから、ストレス、そして見過ごせない病気やケガまで、実に様々です。
ご飯を食べないこと以外に、「元気はあるか」「水は飲んでいるか」「嘔吐や下痢はしていないか」など、愛犬の全体的な様子をチェックすることで、原因を探るヒントが見つかります。まずは慌てずに、愛犬の状態を冷静に見てみましょう。
こんな症状はすぐ病院へ!緊急性の高い危険なサイン
犬の食欲不振の多くは一時的なものですが、中には緊急性の高い病気が隠れているケースもあります。ご飯を食べないことに加えて、これから挙げるような症状が見られる場合は、様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。これらのサインは、体が発している重要なSOSかもしれません。自己判断はせず、専門家である獣医師の診察を仰ぎましょう。
元気がない・ぐったりしている
食欲がないだけでなく、いつもより明らかに元気がない、ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が鈍いといった場合は注意が必要です。単なる体調不良ではなく、重篤な病気や強い痛みを抱えている可能性があります。特に子犬やシニア犬の場合は、急激に状態が悪化することもあるため、早急な対応が求められます。
嘔吐や下痢を繰り返す
一度きりの嘔吐や下痢であれば様子を見ることもできますが、何度も繰り返す場合は危険なサインです。消化器系の病気や誤飲、感染症などが原因で、脱水症状を引き起こす危険性も高まります。特に、吐いたものに血が混じっている、下痢が水様便であるといった場合は、緊急性が高い状態と考えられます。
水を全く飲まない
ご飯を食べないことに加え、水も全く飲まない状態は非常に危険です。脱水は急速に進行し、腎臓をはじめとする内臓に大きなダメージを与える可能性があります。特に半日以上、一滴も水を口にしない場合は、ためらわずに動物病院へ連れて行きましょう。脱水症状は命に関わることもあります。
呼吸が苦しそう・様子がおかしい
ハアハアと浅く速い呼吸が続く、呼吸が苦しそう、お腹を痛がるような姿勢(祈りのポーズなど)をとる、震えが止まらないなど、普段と明らかに様子が違う場合も緊急のサインです。心臓や呼吸器系の疾患、強い腹痛などが考えられます。これらの症状は、愛犬が深刻な苦痛を感じている証拠です。
犬がご飯を食べない7つの理由|原因を特定しよう

愛犬がご飯を食べない理由は、病気だけではありません。ここでは、考えられる主な7つの原因を詳しく解説していきます。愛犬の年齢や性格、最近の生活の変化などを思い返しながら、どのケースに当てはまるか考えてみましょう。原因を特定することが、適切な対処への第一歩となります。
理由①:病気やケガ、体調不良
飼い主さんが最も心配する原因が、病気やケガによる食欲不振です。体のどこかに痛みや不快感があると、食欲は自然と低下します。食欲不振は、様々な病気の初期症状として現れることが多いため、他の症状がないかしっかりと観察することが重要です。
特に、これまで食欲旺盛だった犬が突然食べなくなった場合は、病気の可能性を念頭に置く必要があります。
口の中のトラブル(歯周病など)
食べたい気持ちはあるのに食べられない、というケースで多いのが口の中のトラブルです。歯周病による歯茎の痛みや腫れ、歯のぐらつき、口内炎、あるいは割れた歯などがあると、硬いドッグフードを噛む時に痛みを感じて食べるのを嫌がることがあります。口臭が強くなった、よだれが多い、口の周りを触られるのを嫌がるといったサインも参考になります。
消化器系の病気
胃腸炎や膵炎、異物の誤飲など、消化器系の病気は吐き気や腹痛を伴うことが多く、直接的に食欲不振につながります。嘔吐や下痢、お腹が張っている、頻繁にお腹が鳴るなどの症状が見られる場合は、消化器に何らかの問題が起きている可能性が高いでしょう。食べたものをすぐに吐いてしまうといった症状も、重要なサインです。
そのほかの内臓疾患や感染症
腎臓病や肝臓病、心臓病といった内臓の病気も、進行すると全身のだるさや吐き気を引き起こし、食欲が低下します。また、ウイルスや細菌による感染症にかかると、発熱や倦怠感から食欲がなくなることも少なくありません。これらの病気は、食欲不振以外にも、水をたくさん飲む、おしっこの量が増える、咳をするなど、特有の症状を伴うことがあります。
理由②:ストレスや不安
犬は非常に繊細な動物で、人間が気づかないような些細なことでもストレスを感じ、食欲不振につながることがあります。ストレスの原因は、生活環境の変化から飼い主との関係まで様々です。もし病気の兆候が見られないのに食欲がない場合は、愛犬が何か精神的な負担を抱えていないか、生活を振り返ってみましょう。
環境の変化(引っ越し、新しいペットなど)
引っ越しや部屋の模様替え、家族構成の変化(新しい家族やペットが増える、同居人がいなくなるなど)、近所での工事の騒音といった環境の変化は、犬にとって大きなストレスとなります。慣れない環境に不安を感じ、落ち着いてご飯を食べられなくなってしまうのです。
飼い主とのコミュニケーション不足
留守番の時間が長くなった、飼い主が忙しくてあまり構ってもらえないなど、飼い主とのコミュニケーション不足も犬のストレス原因になります。寂しさや不安から食欲をなくしてしまうことがあります。逆に、飼い主の過度な期待がプレッシャーとなり、食欲不振につながるケースもあります。
理由③:フードが気に入らない(好み・飽き)
病気やストレスではなく、単純に「そのご飯が食べたくない」という理由もよくあります。毎日同じフードを食べていることに飽きてしまったり、フードの味や匂い、粒の硬さなどが好みではなかったりするケースです。
また、フードの保存状態が悪く、風味が落ちてしまった(酸化した)場合も、犬は敏感に察知して食べなくなることがあります。
理由④:老化による食欲低下(シニア犬)
犬も人間と同じように、年を重ねると体に様々な変化が現れます。シニア犬(一般的に7歳頃から)になると、運動量の低下に伴い基礎代謝が落ち、必要なエネルギー量が減るため、自然と食事量も減ってくることがあります。
また、嗅覚や味覚が衰えてフードの匂いを感じにくくなったり、消化機能が低下して一度にたくさん食べられなくなったりすることも、食欲低下の一因です。
理由⑤:わがまま・学習によるもの
「ドッグフードを食べなければ、もっと美味しいおやつや人間の食べ物がもらえる」と犬が学習してしまった結果、ご飯を食べなくなることがあります。これは「わがまま」とも言えますが、多くは飼い主の行動がきっかけになっています。愛犬がフードを残した時に、心配してすぐにおやつを与えたり、トッピングを加えたりする習慣があると、犬は「待てば良いことがある」と覚えてしまうのです。
理由⑥:子犬特有の理由(成長期・環境の変化)
子犬がご飯を食べない場合、成犬とは異なる理由が考えられます。まず、生後4〜6ヶ月頃の歯の生え変わりの時期は、歯茎がむず痒かったり痛みがあったりして、硬いフードを食べたがらないことがあります。
また、新しいお家に迎えられたばかりの子犬は、環境の変化による緊張や不安から食欲が落ちることも珍しくありません。急激な成長期には、一時的に食欲にムラが出ることもあります。
理由⑦:発情期(ヒート)の影響
避妊・去勢手術をしていない犬の場合、発情期(ヒート)が食欲不振の原因になることがあります。メス犬は発情期になると落ち着きがなくなり、食欲が落ちることがあります。また、オス犬は発情中のメス犬が近くにいると、その匂いに興奮してしまい、食事どころではなくなってしまうことがあります。
自宅で試せる!犬の食欲不振への対処法

愛犬に緊急性の高い症状がなく、元気な様子であれば、自宅でいくつかの対処法を試してみる価値があります。ただし、これらの方法は病気が原因ではない場合に限ります。少しの工夫で、愛犬の食欲が戻ることも少なくありません。焦らず、愛犬が喜んでくれる方法を探してみましょう。それでも改善しない場合は、動物病院に相談してください。
フードの与え方を見直す工夫
食欲不振の原因がフードへの「飽き」や「好み」である場合、与え方を少し工夫するだけで食べてくれることがあります。いつものフードをより魅力的に見せるための簡単なアイデアをいくつかご紹介します。これらの方法は、特に嗅覚が衰えがちなシニア犬にも効果的な場合があります。
フードを温めて香りを立たせる
ドッグフードは、人肌程度に温めると香りが強くなり、犬の食欲を刺激します。電子レンジで数秒温めるか、ぬるま湯を少量加えてふやかすのが簡単な方法です。特にウェットフードや手作り食は、温めることで格段に食いつきが良くなることがあります。火傷しないように、必ず温度を確認してから与えてください。
ウェットフードやトッピングを試す
いつものドライフードに、嗜好性の高いウェットフードを少し混ぜたり、犬用に味付けされていない茹でたささみや野菜、無糖のヨーグルトなどを少量トッピングしたりするのも効果的です。ただし、トッピングが習慣化すると、それがないと食べなくなる可能性もあるため、あくまで食欲のきっかけとして利用するのが良いでしょう。
フードの種類を切り替えてみる
長年同じフードを与えている場合は、思い切ってフードの種類を切り替えてみるのも一つの手です。主原料(チキン、ラム、魚など)や粒の形状が違うものを選ぶと、新鮮に感じて食べてくれるかもしれません。
ただし、フードを急に切り替えるとお腹を壊すことがあるため、1週間ほどかけて、今までのフードに新しいフードを少しずつ混ぜながら慣らしていくようにしましょう。
ストレスの原因を取り除き、安心できる環境を整える
愛犬がストレスを感じているようであれば、その原因を特定し、できる限り取り除いてあげることが大切です。例えば、食事場所が騒がしい場合は、静かで落ち着ける場所に食器を移動させてみましょう。留守番が多いなら、帰宅後にスキンシップの時間を増やしたり、知育トイを与えたりして、愛犬の心を満たしてあげてください。安心できる環境と飼い主との信頼関係が、心の安定と食欲回復につながります。
「わがまま」には毅然とした態度で接する
愛犬が「わがまま」でご飯を食べない場合、心を鬼にして毅然とした態度で接することも必要です。食事の時間になったらフードを出し、15〜20分程度で食べなければ一度片付けます。そして、次の食事の時間までおやつなどを一切与えないようにします。これを繰り返すことで、犬は「出された時に食べないと、次はない」と学習します。可哀想に思うかもしれませんが、健康のためには大切なトレーニングです。
動物病院へ行くべき?判断に迷った時のための目安

「愛犬の食欲不振、もう少し様子を見てもいいのかな?それとも、すぐに病院へ行くべき?」この判断は、飼い主さんにとって非常に悩ましい問題です。
ここでは、受診の判断に迷った時のための具体的な目安を解説します。愛犬の命を守るためにも、正しい判断基準を知っておくことが重要です。
「様子見OK」と「すぐ受診」の判断基準比較表
以下の表は、あくまで一般的な目安です。これに当てはまらない場合でも、飼い主さんが「何かおかしい」と感じたら、迷わず獣医師に相談してください。
|
項目 |
様子見で良い可能性が高いケース |
すぐに動物病院へ行くべきケース |
|---|---|---|
|
元気・様子 |
食欲はないが、元気で普段通りに遊ぶ。散歩にも行きたがる。 |
ぐったりしている、震えている、呼吸が荒い、痛がる素振りを見せる。 |
|
他の症状 |
嘔吐や下痢などの症状はない。 |
嘔吐や下痢を繰り返す、血便・血尿が出る、水を全く飲まない。 |
|
期間 |
食欲不振が一時的(半日〜1日程度)。 |
24時間以上、全く何も口にしない状態が続く。 |
|
年齢 |
健康な成犬。 |
体力のない子犬やシニア犬、持病のある犬。 |
動物病院で獣医師に伝えるべきポイント
動物病院を受診する際は、事前に情報を整理しておくと診察がスムーズに進み、より正確な診断につながります。獣医師に伝えるべきポイントをリストアップしましたので、メモなどにまとめて持参することをおすすめします。
- いつから食べないか:食欲不振が始まった具体的な日時。
- 食欲以外の症状:嘔吐、下痢、咳、元気の有無、おしっこやうんちの状態など、気づいた変化は全て伝えましょう。
- 生活の変化:最近、引っ越しや新しいペットを迎えたなど、環境の変化がなかったか。
- 食事内容:普段与えているフードやおやつの種類、量。
- 誤飲の可能性:おもちゃの破片や人間の食べ物など、何かを誤って食べてしまった可能性はないか。
- 持病や服用中の薬:もしあれば、必ず伝えましょう。
犬がご飯を食べない時に関するよくある質問(FAQ)
ご飯は食べないけど、おやつは食べます。大丈夫でしょうか?
おやつだけを食べる場合、病気の可能性は低いかもしれませんが、「わがまま」や「学習」による食欲不振の可能性があります。おやつの方が嗜好性が高いため、フードを食べずにおやつを待っている状態です。この場合は、まずおやつを与えるのをやめ、フードを主食とする習慣をつけさせることが大切です。
ただし、口の中に痛みがあって硬いフードが食べられず、柔らかいおやつなら食べられるというケースもあるため、口の中のチェックも忘れずに行いましょう。
1日くらい食べなくても平気ですか?
健康な成犬であれば、1日程度食事を抜いても大きな問題になることは少ないです。しかし、元気がない、嘔吐するなどの他の症状がある場合や、子犬やシニア犬、持病のある犬の場合は、半日でも食べない状態が続くと体調を崩しやすいため、早めに動物病院に相談することをおすすめします。24時間以上何も食べない場合は、犬種や年齢に関わらず受診を検討してください。
食欲がない時、無理やり食べさせた方がいいですか?
無理やり食べさせるのは絶対にやめましょう。犬が食べないのには何らかの理由があり、特に吐き気などがある場合に無理に食べさせると、症状を悪化させたり、誤嚥(食べ物が気管に入ってしまうこと)を引き起こしたりする危険があります。
また、食事に対して嫌なイメージを持ってしまい、ますます食べなくなる可能性もあります。食欲がない時は、まずその原因を探ることが先決です。
老犬(シニア犬)が食べない時に特に気をつけることは何ですか?
シニア犬の場合、食欲不振は老化による自然な変化だけでなく、様々な病気のサインである可能性が高まります。特に、慢性腎臓病や心臓病、関節炎の痛みなどが隠れていることがあります。
また、筋力が低下して食事の姿勢を保つのが辛い場合もあります。フードをふやかして食べやすくしたり、食器の高さを調整したりする工夫も有効ですが、体重の減少が続く場合や他の症状が見られる場合は、単なる老化と判断せず、必ず獣医師の診察を受けてください。
まとめ:愛犬の様子をよく観察し、不安な時は迷わず動物病院へ
愛犬がご飯を食べない時、その背景には様々な理由が隠されています。大切なのは、慌てずに愛犬の様子をしっかりと観察し、食欲以外の変化を見逃さないことです。元気があり、他に心配な症状がなければ、今回ご紹介したフードの工夫や環境の見直しを試してみてください。
しかし、ぐったりしている、嘔吐を繰り返すなど、少しでも危険なサインが見られたり、食欲不振が長引いたりする場合は、自己判断せずに速やかに動物病院を受診しましょう。飼い主さんの的確な判断と行動が、愛犬の健康を守ることに繋がります。

