犬の食事回数は1日に何回がベスト?子犬・成犬・老犬のライフステージ別に解説

犬の食事回数は1日に何回がベスト?子犬・成犬・老犬のライフステージ別に解説

Table of Contents

  • 犬の食事回数は、子犬・成犬・老犬といった「ライフステージ」に合わせて変えるのが基本です。
  • 子犬は消化器官が未熟なため1日3〜4回、成犬は1日2回、老犬は消化機能の低下に合わせて1日3回以上が目安です。
  • 食事の時間は毎日なるべく固定し、食事と食事の間隔を均等に保つことで、愛犬の体調を整えやすくなります。
  • 特に大型犬は命に関わる「胃捻転」のリスクを減らすため、食後すぐの運動は絶対に避けましょう。
  • 愛犬が空腹で吐いてしまう、食欲がないなどのサインを見せたら、食事回数の見直しが必要かもしれません。

愛犬の食事回数で悩む飼い主さんへ|健康の基本は「ライフステージ」に合わせた調整

新しい家族として愛犬を迎え入れたばかりの時、「ご飯は1日に何回あげたらいいんだろう?」と疑問に思うのは、すべての飼い主さんが通る道です。インターネットで検索すると色々な情報が出てきて、どれが自分の愛犬にとっての「正解」なのか分からなくなってしまいますよね。

大切なのは、犬の年齢や成長段階、つまり「ライフステージ」に合わせて食事の回数を調整してあげることです。人間でいえば、赤ちゃん、大人、お年寄りで食事の回数や内容が変わるのと同じです。

この記事では、犬のライフステージごとに最適な食事回数とその理由、そして時間を決める際のポイントまで、初めて犬を飼う方にも分かりやすく解説します。愛犬の健康な毎日を、食事の面からしっかりサポートしていきましょう。

【早見表】犬のライフステージ別・食事回数の目安

まずは、愛犬がどのライフステージにあたるのかを確認し、食事回数の基本をおさえましょう。もちろん個体差はありますが、一般的な目安として参考にしてください。

ライフステージ

年齢の目安

1日の食事回数の目安

子犬期

〜約1歳

3〜4回以上

成犬期

約1歳〜7歳

2回

老犬期(シニア期)

約7歳〜

3回以上

※犬種や体の大きさによって、成犬期や老犬期に入る年齢は異なります。

【ライフステージ別】犬に適切な食事回数と理由を解説

なぜライフステージによって食事の回数を変える必要があるのでしょうか。ここからは、それぞれの時期における犬の体の特徴と、それに合わせた食事回数が推奨される理由を詳しく見ていきましょう。愛犬の体の仕組みを理解することで、より自信を持って食事の管理ができるようになります。

子犬(〜約1歳):消化器官に優しく、成長をサポートする「少量頻回」

子犬の時期は、犬の一生の中で最も成長が著しい大切な期間です。骨格や筋肉、内臓など、体のすべてが急速に発達するため、たくさんのエネルギーと栄養を必要とします。しかし、子犬の消化器官はまだ未熟で、一度にたくさんの量を消化・吸収することができません。

もし成犬と同じように1日2回など、一度にたくさんのご飯を与えてしまうと、消化しきれずに下痢や嘔吐をしてしまうことがあります。また、エネルギーを一度にたくさん摂取しても、次の食事までの時間が長すぎると、エネルギーが不足して低血糖を起こしてしまう危険性もあります。特に、体の小さいトイプードルやチワワなどの小型犬の子犬は注意が必要です。

そのため、子犬期は1日の食事量を3〜4回、あるいはそれ以上に細かく分けて与える「少量頻回」が基本となります。これにより、未熟な胃腸への負担を減らしながら、成長に必要なエネルギーと栄養を一日を通して安定して供給することができるのです。こまめに食事を与えることは、子犬の健やかな成長を支えるための重要なポイントです。

月齢ごとの回数の目安

子犬と一言でいっても、月齢によって体はどんどん変化していきます。成長に合わせて、食事の回数も少しずつ調整していきましょう。

  • 生後2〜3ヶ月頃:まだ胃が小さく消化能力も低いため、1日4〜5回に分けて与えるのが理想です。ペットショップやブリーダーから迎えたばかりの時期は、環境の変化でストレスを感じやすいため、特に消化に配慮してあげましょう。
  • 生後4〜6ヶ月頃:消化器官が少しずつ発達してくる時期です。様子を見ながら、1日3〜4回に減らしていくことができます。
  • 生後6ヶ月〜1歳頃:体が成犬に近づき、消化能力も安定してきます。この時期から、1日2回の食事に慣らしていく準備を始めると良いでしょう。急に変えるのではなく、1週間ほどかけてゆっくりと移行するのがポイントです。

成犬(約1歳〜7歳):消化機能が安定し、生活リズムを作りやすい「1日2回」

約1歳を過ぎて成犬期に入ると、体の成長は落ち着き、消化機能も安定してきます。そのため、食事の回数は「1日2回」、朝と晩に与えるのが最も一般的です。多くの飼い主さんのライフスタイルにも合わせやすく、犬にとっても生活リズムを作りやすいというメリットがあります。

食事の間隔が適度に空くことで、犬は空腹を感じ、次の食事を楽しみにしてくれます。これにより、食欲を維持しやすくなるのです。時々、「1日1回ではダメなの?」という質問を受けますが、あまりおすすめはできません。食事の間隔が24時間も空いてしまうと、空腹の時間が長すぎて胃酸過多になり、黄色い胃液を吐いてしまうことがあります。

また、一度に大量のフードを食べることは、後述する「胃捻転」のリスクを高める可能性も指摘されています。

愛犬の健康維持のためにも、1日の給与量を2回に分け、規則正しい時間に与えることを習慣にしましょう。

大型犬は特に注意!胃捻転のリスクと食事のタイミング

ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパードといった胸の深い大型犬の飼い主さんは、「胃捻転(いねんてん)」という病気に特に注意が必要です。胃捻転は、何らかの原因で胃がねじれてしまう、命に関わる緊急性の高い病気です。

一度に大量の食事を摂ることや、食後すぐに激しい運動をすることが、発症のリスクを高める要因とされています。食事を1日1回にすると、一食あたりの量が多くなりがちです。そのため、食事を1日2回以上に分けて一回量を減らすことが、胃捻転の予防策の一つとして推奨されています。

愛犬の命を守るためにも、大型犬の場合は特に食事の回数と与え方に気を配り、食後はゆっくり休ませてあげることが非常に重要です。

老犬(シニア犬・7歳〜):消化機能の低下を補う「1日3回以上」

犬も7歳頃からシニア期に入り、人間と同じように少しずつ体に変化が現れます。特に変化が見られるのが消化機能です。若い頃に比べて食べ物を消化・吸収する能力が落ちてくるため、一度にたくさんの量を食べると胃腸に負担がかかり、下痢や便秘、嘔吐の原因になることがあります。

また、運動量の低下に伴って食が細くなったり、逆に関節の痛みなどから食欲が増して肥満になりやすくなったりと、食に関する悩みが増える時期でもあります。こうしたシニア期の体の変化に対応するため、食事の回数を再び子犬の頃のように「1日3回以上」に増やしてあげることが推奨されます。

1回の食事量を減らし、回数を増やすことで、消化器官への負担を軽減できます。また、こまめに食事を与えることで、食が細くなった子でも1日に必要な栄養を摂取しやすくなります。愛犬の様子をよく観察し、食べ方や便の状態を見ながら、その子に合ったペースを見つけてあげましょう。

犬の食事時間を決める3つのポイント|タイミングと間隔

食事の回数と合わせて重要になるのが、「いつ与えるか」というタイミングです。食事の時間を決める際には、3つの大切なポイントがあります。これらを守ることで、愛犬の体内リズムが整い、心身ともに健康な生活をサポートすることができます。

1. 毎日なるべく同じ時間に与える

犬は体内時計が比較的正確で、習慣を大切にする動物です。毎日決まった時間に食事を与えることで、犬の生活に規則正しいリズムが生まれます。食事の時間が近づくと、体は消化酵素を分泌するなど、食事を受け入れる準備を始めます。

このリズムが整うと、消化がスムーズに行われるようになり、胃腸への負担を減らすことにつながります。また、「もうすぐご飯の時間だ」と予測ができることは、犬にとって安心感にもつながります。飼い主さんの生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる時間帯を見つけ、できるだけ毎日同じ時間に与えるように心がけましょう。

2. 食事の間隔を均等に保つ

1日に2回食事を与える場合、朝と夜の食事の間隔をなるべく均等に保つことが理想的です。例えば、朝7時に与えたら、夜は19時頃というように、約12時間間隔を目安にすると良いでしょう。

食事の間隔が短すぎると、前の食事が消化しきれていないうちに次の食事となり、胃腸に負担がかかります。逆に、間隔が長すぎると、極度の空腹状態になってしまいます。空腹時間が長引くと、胃酸が出すぎてしまい、黄色い泡(胃液)を吐いてしまう原因にもなります。愛犬が快適に過ごせるよう、食事の間隔にも気を配ってあげましょう。

3. 散歩や運動の直前・直後は避ける

食事のタイミングで最も注意したいのが、運動との兼ね合いです。特に、食後すぐの激しい運動は絶対に避けるべきです。食後は、消化のために血液が胃腸に集中します。そのタイミングで運動をすると、消化不良を起こしやすくなるだけでなく、先ほども触れた「胃捻転」という命に関わる病気を引き起こすリスクが非常に高まります。

散歩や運動は、食事の1〜2時間前、または食後2〜3時間経ってから行うのが安全です。食事の時間は、散歩のスケジュールと合わせて計画するようにしましょう。これは、犬種やサイズに関わらず、すべての犬にとって大切な注意点です。

犬の食事回数を変更する時の注意点と進め方

子犬から成犬へ、成犬から老犬へとライフステージが変わる時など、食事の回数を変更する必要が出てきます。その際、急に回数を変えてしまうと、犬の体に負担がかかったり、戸惑わせてしまったりすることがあります。変更する際は、以下の点に注意しながら、ゆっくりと進めましょう。

1. 1日の総給与量は変えない
最も重要なポイントは、食事の回数を変えても、1日に与えるフードの総量は変えないことです。例えば、1日3回から2回に減らす場合は、今までの1回分の量を1.5倍にして与えます。回数だけを変えて1回あたりの量を変えないと、カロリーオーバーや栄養不足になってしまいます。

2. 1週間ほどかけて徐々に移行する
いきなり回数を変えるのではなく、1週間程度の移行期間を設けましょう。例えば、3回から2回へ移行する場合、まずはお昼の量を少しずつ減らし、その分を朝と夜の食事に足していきます。これを数日かけて行い、最終的にお昼の食事がなくなるように調整します。こうすることで、犬の消化器官も変化に慣れやすくなります。

3. 愛犬の様子をよく観察する
食事回数を変更している間は、愛犬の体調に変化がないか、いつも以上に注意深く観察してください。特に、便の状態(硬さや色、回数)は健康のバロメーターです。もし、下痢や便秘が続くようであれば、変更のペースが早すぎるのかもしれません。その場合は一度元の回数に戻したり、移行のペースをさらにゆっくりにしたりと調整しましょう。不安な場合は、かかりつけの獣医師に相談するのが一番です。

こんな時はどうする?食事回数の調整が必要なケース

ライフステージの変化以外にも、愛犬の体調や状況によっては食事回数の見直しが必要になることがあります。ここでは、飼い主さんが遭遇しやすい具体的なケースと、その対処法について解説します。

空腹で黄色い泡や白い泡を吐いてしまう場合

朝方や食事の前に、愛犬が黄色い液体や白い泡を吐いてしまうことはありませんか?これは「胆汁嘔吐症候群」と呼ばれ、空腹の時間が長すぎることが原因で起こるケースが多いです。胃が空っぽの状態が続くと、分泌された胃酸や、十二指腸から逆流してきた胆汁が胃を刺激して嘔吐を引き起こします。

この場合、空腹の時間を作らないように食事の回数を増やすのが効果的です。例えば、1日2回食の場合は3回に増やしたり、夜寝る前に少量のフードやおやつを与えたりすることで、症状が和らぐことがあります。頻繁に吐く場合は、他の病気の可能性も考えられるため、一度動物病院で相談しましょう。

食欲が落ちている、ご飯を食べない場合

病気や夏バテ、シニア期に入ったことなどで食欲が落ちてしまうことがあります。一度にたくさんのご飯を目の前にすると、それだけで食べる気をなくしてしまう子もいます。そんな時は、1回の食事量を減らし、その分回数を増やしてあげると、食べてくれることがあります。

少量であれば「これくらいなら食べられるかも」と口をつけてくれる可能性が高まります。フードを少し温めて香りを立たせてあげるのも効果的です。ただし、丸1日以上何も食べない、元気もないといった場合は病気のサインかもしれません。早めに獣医師の診察を受けてください。

肥満気味でダイエットが必要な場合

愛犬が肥満気味で、獣医師からダイエットを指導された場合も、食事回数の見直しが有効です。ダイエット中は1日の総カロリーを制限するため、1回あたりの食事量が減り、犬が空腹を感じやすくなります。その結果、食べ物をねだったり、盗み食いをしたりといった問題行動につながることも。

そこで、1日の給与量を3〜4回に細かく分けて与えることで、空腹の時間帯を減らし、愛犬の満足感を保ちながらダイエットを進めることができます。食事の回数を増やすことで、精神的なストレスを軽減し、ダイエットの成功率を高めるサポートになるのです。

犬の食事回数に関するよくある質問

ここでは、犬の食事回数について飼い主さんからよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 犬の食事は1日1回でも大丈夫ですか?

A1. 1日1回の食事は、空腹の時間が長くなりすぎるため、基本的には推奨されません。胃液を吐いてしまったり、一度に大量に食べることで胃捻転のリスクが高まったりする可能性があります。健康維持のためには、少なくとも1日2回以上に分けて与えるのが理想的です。最近、1日1回食の方が健康的という研究報告もありますが、まだ研究段階であり、すべての犬に当てはまるわけではありません。まずは基本の1日2回食を心がけましょう。

Q2. 仕事の都合で、毎日決まった時間に食事をあげられません。

A2. 飼い主さんの生活スタイルによっては、毎日きっちり同じ時間に与えるのが難しい場合もありますよね。完璧でなくても大丈夫ですが、できるだけ食事の間隔が大きく変動しないように工夫しましょう。例えば、朝の食事がいつもより遅れた日は、夜の食事も少し遅らせるなどして、食事と食事の間隔を調整してあげると良いでしょう。どうしても時間が不規則になる場合は、設定した時間に自動でフードが出てくる「自動給餌器(オートフィーダー)」を活用するのも一つの方法です。

Q3. フードを常に置いておく「置き餌」はダメですか?

A3. 「置き餌(おきえ)」は、いつでも食べられる反面、いくつかのデメリットがあります。まず、フードが空気に触れ続けることで風味が落ち、酸化が進んで品質が劣化してしまいます。特に湿気の多い季節は、雑菌が繁殖する原因にもなります。また、1日にどれくらいの量を食べたか把握しにくいため、肥満につながりやすいです。食欲不振など、愛犬の体調の変化にも気づきにくくなるため、食事の時間は決めて与えることをおすすめします。

 

まとめ:愛犬の様子を見ながら最適な食事回数を見つけよう

この記事では、犬の食事回数について、ライフステージ別の目安や時間を決める際のポイントを解説しました。基本は、子犬期は「3〜4回以上」、成犬期は「2回」、老犬期は「3回以上」と覚えておきましょう。

しかし、これらはあくまで一般的な目安です。大切なのは、ガイドラインを参考にしつつ、目の前にいる愛犬の様子をしっかりと観察することです。食欲、便の状態、体重、毛ヅヤなど、日々の小さな変化に気を配り、その子にとってのベストな回数やタイミングを見つけてあげてください。

食事は、愛犬の健康な体を作る基本であり、飼い主さんとの大切なコミュニケーションの時間でもあります。もし食事のことで悩んだり、判断に迷ったりした時は、一人で抱え込まず、かかりつけの獣医師に気軽に相談してくださいね。

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