犬の腎臓病の食事完全ガイド【上級編】食べない時の対策・療法食の選び方・手作りレシピまで
Table of Contents
- まずは基本をおさらい:犬の腎臓病の食事で大切な4つのポイント
- 1. タンパク質の「量」と「質」を調整する
- 2. 「リン」の摂取を厳密に管理する
- 3. 「ナトリウム」を控えて腎臓への負担を減らす
- 4. 健康維持を支える栄養素を積極的に補う
- 【実践編】愛犬が腎臓病の食事を「食べない」ときの具体的な対策
- ひと工夫で食欲を刺激する方法
- トッピングを活用する際の注意点
- 食事の環境や与え方を見直してみる
- どうしても食べない場合は獣医師への相談を
- 腎臓病の食事の主役「療法食」の上手な選び方と比較
- 腎臓病の療法食とは?なぜ必要?
- 療法食の主な種類と特徴(ドライ・ウェット・おやつ)
- 愛犬に合った療法食を選ぶための比較ポイント【比較表】
- 選択肢を広げる「手作り食」の始め方と注意点
- 手作り食のメリットと知っておくべきデメリット
- 栄養バランスを考えた手作り食の基本レシピ
- 材料(体重5kgの犬の1日分目安)
- 作り方の手順と調理のポイント
- 手作り食で特に注意すべき食材リスト
- 犬の腎臓病の食事に関するよくあるご質問
- まとめ:獣医師と相談しながら愛犬に合った食事管理を
- 愛犬が腎臓病の食事を食べない時の具体的な工夫(温める、トッピングなど)が分かります。
- ドライ、ウェットなど様々な療法食の中から、愛犬に合ったものを選ぶ比較ポイントを学べます。
- 獣医師の指導のもとで始める、手作り食の基本レシピと注意すべき食材が理解できます。
- 腎臓病の食事管理で最も大切な「タンパク質」「リン」「ナトリウム」の調整について再確認できます。
■腎臓病の食事・基礎知識はこちらの記事へ
犬の腎臓病の食事ガイド|食べて良いもの・悪いもの、療法食の選び方を解説
まずは基本をおさらい:犬の腎臓病の食事で大切な4つのポイント

愛犬が腎臓病と診断されると、飼い主さんは食事について多くの不安や疑問を抱えることと思います。特に、これまで喜んで食べていたごはんを急に変えなければならないことへの戸惑いは大きいでしょう。
けれども、腎臓病のケアにおいて食事管理は、病気の進行をゆるやかにし、愛犬の生活の質(QOL)を維持するために非常に大切な役割を果たします。
腎臓は体内の老廃物をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。その機能が低下すると、特定の栄養素が体に負担をかけてしまうことがあります。そのため、食事の内容を見直すことで、腎臓への負担を減らし、体調をサポートすることができるのです。
ここでは、まず基本となる4つの大切なポイントを一緒に確認していきましょう。なぜこれらの調整が必要なのかを理解することが、日々の食事管理を続ける上での支えになります。愛犬のために、今できる最善のケアを始める第一歩です。
1. タンパク質の「量」と「質」を調整する
タンパク質は体を作る大切な栄養素ですが、分解される際に老廃物が発生します。腎臓の機能が低下していると、この老廃物をうまく排出できず、体内に溜まってしまいがちです。そのため、タンパク質の摂取量を制限することが一般的です。
ただし、単に減らすだけでなく、アミノ酸バランスの良い「良質なタンパク質」を適量摂ることが、筋肉量の維持にもつながり重要になります。
2. 「リン」の摂取を厳密に管理する
腎臓病の食事管理で、タンパク質と並んで最も重要視されるのがリンの制限です。腎機能が低下すると、体内のリンをうまく排出できなくなり、血液中のリン濃度が高くなってしまいます。
この状態が続くと、骨がもろくなったり、腎臓の病状をさらに進行させたりする可能性があるとされています。リンは肉類や乳製品に多く含まれるため、専用の療法食で管理することが推奨されます。
3. 「ナトリウム」を控えて腎臓への負担を減らす
ナトリウム(塩分)の摂りすぎは、血圧の上昇につながり、腎臓にさらなる負担をかける可能性があります。そのため、食事中のナトリウムを制限することが大切です。
人間用の食べ物やおやつは、犬にとってはナトリウムが多すぎることがほとんどです。愛犬の健康を守るためにも、味付けされたものは与えないようにしましょう。
4. 健康維持を支える栄養素を積極的に補う
制限だけでなく、愛犬の健康をサポートする栄養素を補うことも大切です。例えば、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、体内の炎症を抑える働きが期待され、腎臓の健康維持をサポートするとされています。
また、食欲が落ちた際に不足しがちなビタミンB群などを適切に補うことも、愛犬の元気を支える上で役立ちます。
【実践編】愛犬が腎臓病の食事を「食べない」ときの具体的な対策

獣医師から療法食を勧められても、愛犬が全く口にしてくれない…。これは、腎臓病の犬と暮らす多くの飼い主さんが直面する、非常につらく、心配な問題です。「体に良いと分かっているのに、どうして食べてくれないの」と、焦りや不安を感じてしまうのも当然のことです。
腎臓病の犬は、体内に老廃物が溜まることで吐き気を感じたり、食欲が低下したりすることがあります。また、療法食は嗜好性が低いと感じる子も少なくありません。
しかし、諦める必要はありません。ほんの少しの工夫で、愛犬の食欲を刺激できる可能性があります。ここでは、飼い主さんが今日から試せる具体的な対策をいくつかご紹介します。愛犬が少しでも食事に興味を持ってくれるよう、一緒に試行錯誤していきましょう。
ひと工夫で食欲を刺激する方法
いつもの食事に少し手を加えるだけで、驚くほど食いつきが変わることがあります。愛犬の好みを探りながら、いくつか試してみてください。
- フードを温める:ドライフードやウェットフードを人肌程度(約37~38℃)に温めると、香りが立って食欲をそそります。電子レンジを使う場合は、加熱しすぎによる火傷に十分注意し、必ず手で温度を確認してから与えましょう。
- 水分を加える:ドライフードにぬるま湯や無塩の野菜スープ、鶏のささみの茹で汁などを少量加えて、ふやかしてみましょう。水分補給にもなり、食べやすさも向上します。
- 食感を変えてみる:ドライフードを少し砕いてみたり、ウェットフードと混ぜてみたりと、食感に変化をつけるのも一つの方法です。
- 手から直接与える:飼い主さんの手から一粒ずつ与えることで、安心して食べてくれることがあります。コミュニケーションの時間にもなり、愛犬の気持ちを落ち着かせる効果も期待できます。
トッピングを活用する際の注意点
どうしても療法食だけでは食べてくれない場合、少量のトッピングは有効な手段です。ただし、最も重要なのは療法食の栄養バランスを崩さないこと。トッピングは、1日の総食事量の10%未満に留めるのが原則です。
リンやナトリウムが少ない鶏のささみや胸肉を茹でたもの、カボチャやキャベツなどを少量加えるのがおすすめです。必ず獣医師に相談し、許可された食材を適切な量だけ使うようにしましょう。
食事の環境や与え方を見直してみる
食事の内容だけでなく、環境が食欲に影響することもあります。静かで落ち着ける場所で食事ができるよう、食器の場所を見直してみましょう。また、一度にたくさん食べられない場合は、食事の回数を1日3~4回に増やし、一回あたりの量を減らしてあげるのも効果的です。食器の高さを調整して、楽な姿勢で食べられるようにしてあげるのも良いでしょう。
どうしても食べない場合は獣医師への相談を
様々な工夫を試しても食欲が戻らない場合は、病状が進行している可能性も考えられます。無理に食べさせようとせず、かかりつけの獣医師にすぐに相談してください。食欲増進のための薬や、別の治療法を提案してくれるはずです。
腎臓病の食事の主役「療法食」の上手な選び方と比較
犬の腎臓病の食事管理において、中心的な役割を担うのが「療法食」です。療法食は、一般的なドッグフードとは異なり、特定の病気の栄養管理を目的として、獣医師の指導のもとで使用される特別な食事です。自己判断で選ぶのではなく、必ず獣医師の診断と推奨に基づいて与えることが大前提となります。
しかし、療法食と一言で言っても、様々なメーカーからドライタイプ、ウェットタイプなど多種多様な製品が販売されており、「どれを選べば良いのか分からない」と悩む飼い主さんも少なくありません。
ここでは、療法食の基本的な知識と、愛犬に合った製品を選ぶためのポイントを解説します。
腎臓病の療法食とは?なぜ必要?
腎臓病用の療法食は、前述した食事管理の4つのポイント(タンパク質・リン・ナトリウムの制限、健康を支える栄養素の補給)を満たすように、栄養バランスが精密に調整されています。
専門家によって科学的根拠に基づいて開発されており、家庭での手作り食では難しい栄養管理を、毎日の食事で手軽に実践できるのが最大のメリットです。腎臓への負担を軽減し、病気の進行をサポートするために不可欠な選択肢と言えるでしょう。
療法食の主な種類と特徴(ドライ・ウェット・おやつ)
療法食には、主に3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、愛犬の状態や好みに合わせて選びましょう。
- ドライタイプ:保存性が高く、コストパフォーマンスに優れています。歯石が付きにくいというメリットもありますが、水分量が少ないため、飲水量をしっかり確保する必要があります。
- ウェットタイプ:水分含有量が多く、食事と一緒に自然な水分補給ができます。香りが強く嗜好性が高い傾向にあるため、食欲が落ちている子におすすめです。開封後の保存には注意が必要です。
- おやつタイプ:腎臓病の犬でも安心して与えられるように、リンやナトリウムが調整されたおやつも販売されています。ご褒美やコミュニケーションツールとして活用できますが、与えすぎには注意しましょう。
- 愛犬に合った療法食を選ぶための比較ポイント【比較表】
療法食を選ぶ際は、「愛犬が食べてくれること」が何よりも大切です。獣医師と相談の上、いくつかの選択肢の中からサンプルなどを試してみるのが良いでしょう。
以下の比較表は、選ぶ際の考え方の参考としてご活用ください。
|
比較ポイント |
フードA(ドライ) |
フードB(ウェット) |
フードC(ドライ) |
|---|---|---|---|
|
主な特徴 |
標準的な腎臓病ケア用。コストバランスが良い。 |
高い嗜好性と水分補給が魅力。食欲不振時に。 |
独自のコーティングで嗜好性を追求。小粒タイプ。 |
|
主なタンパク源 |
チキン、米 |
ポーク、サーモン |
卵、トウモロコシ |
|
嗜好性の工夫 |
独自の風味付け |
肉の風味を活かしたパテ状 |
香り高いオイルコーティング |
|
こんな子におすすめ |
好き嫌いが少なく、ドライフードに慣れている子。 |
食欲が落ちている子や、あまり水を飲まない子。 |
グルメな子や、口が小さい小型犬。 |
※上記はあくまで一般的な比較例です。実際の製品の特性については、必ず獣医師にご確認ください。
選択肢を広げる「手作り食」の始め方と注意点

療法食をどうしても食べてくれない時や、できるだけ自然なものを与えたいと考える飼い主さんにとって、「手作り食」は魅力的な選択肢に映るかもしれません。愛情を込めて作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる姿は、何よりの喜びでしょう。実際に、手作り食は嗜好性が高く、水分も豊富に摂れるというメリットがあります。
しかし、腎臓病の犬のための手作り食は、健康な犬のごはん作りとは全く異なります。栄養バランスの調整が非常に難しく、知識不足のまま行うと、かえって愛犬の体に負担をかけてしまう危険性もはらんでいます。手作り食を始める前には、必ずメリットとデメリットを正しく理解し、獣医師や専門家と緊密に連携することが絶対条件です。
手作り食のメリットと知っておくべきデメリット
手作り食を検討する際は、良い面だけでなくリスクも十分に理解しておくことが重要です。
- メリット:食材を自分で選べるため安心感があり、調理法を工夫することで高い嗜好性を期待できます。また、調理の過程で水分を多く含ませることも可能です。
- デメリット:最大のデメリットは、栄養バランスの管理の難しさです。特にリンやタンパク質の厳密な制限、必要なビタミン・ミネラルの添加は専門的な知識を要します。時間と手間、コストがかかる点も考慮が必要です。
- 栄養バランスを考えた手作り食の基本レシピ
ここでは、獣医師の指導のもとで手作り食を始める際の、ごく基本的な考え方とレシピの一例をご紹介します。これはあくまで一例であり、必ずかかりつけの獣医師に愛犬の体重や病状に合わせた調整をしてもらってください。
材料(体重5kgの犬の1日分目安)
- 鶏ささみ or 鶏むね肉:約50g
- 白米(炊いたもの):約150g
- カボチャ or ニンジン:約20g
- 植物油(オメガ3系など):小さじ1/2
- サプリメント:指定量
作り方の手順と調理のポイント
- 鶏肉は細かく刻み、たっぷりの湯で茹でます。この時、茹で汁は必ず捨ててください(茹でこぼし)。これにより、食材に含まれるリンやカリウムを減らすことができます。
- カボチャやニンジンは、皮をむいて柔らかくなるまで茹で、細かく刻むか、すりつぶします。
- 炊き上がった白米に、茹でた鶏肉と野菜、植物油を混ぜ合わせます。
- 人肌程度に冷めたら、獣医師から処方されたビタミン・ミネラルのサプリメントを加えてよく混ぜます。サプリメントは熱に弱い成分が含まれることがあるため、必ず最後に加えましょう。
このレシピは、エネルギー源として炭水化物を多めにし、タンパク質とリンを制限する基本的な構成です。
繰り返しになりますが、自己判断でこのレシピを続けることは絶対に避けてください。定期的な血液検査で愛犬の状態を確認しながら、獣医師と一緒に内容を調整していくことが不可欠です。
手作り食で特に注意すべき食材リスト
手作り食では、良かれと思って加えた食材が、腎臓病の犬には有害となることがあります。以下の食材はリンやナトリウム、カリウムなどが多く含まれるため、避けるべき代表例です。これら以外にも注意が必要な食材は多いため、新しい食材を加える前には必ず獣医師に確認しましょう。
- リンが多い食材:レバーなどの内臓肉、赤身の肉、イワシやサバなどの青魚、卵黄、チーズなどの乳製品、豆類、玄米
- ナトリウムが多い食材:加工肉(ハム、ソーセージ)、パン、人間用のおやつや総菜
- カリウムが多い食材:ほうれん草、バナナ、イモ類(茹でこぼしで低減は可能)
- その他犬に有害な食材:玉ねぎ、ネギ類、ブドウ、レーズン、チョコレート、キシリトールなど
犬の腎臓病の食事に関するよくあるご質問
Q1. 腎臓病の犬に野菜を与えても大丈夫ですか?
A1. はい、与えても大丈夫ですが、種類を選ぶ必要があります。リンやカリウムが少ないキャベツ、パプリカ、きゅうり、大根などは比較的安心して使えます。
一方で、ほうれん草やブロッコリー、イモ類はカリウムが多いため、与える場合は少量にするか、細かく刻んで茹でこぼすなどの下処理が必要です。新しい野菜を与える前には、獣医師に相談するとより安心です。
Q2. 療法食を途中で変えても良いのでしょうか?
A2. 愛犬が食べてくれなくなった場合など、獣医師の許可があれば療法食の種類を変更することは可能です。ただし、急に変えると胃腸に負担がかかることがあります。以前のフードに新しいフードを少量混ぜることから始め、1週間から10日ほどかけてゆっくりと切り替えていくのがおすすめです。
Q3. 腎臓に良いサプリメントはありますか?
A3. 腎臓の健康維持をサポートするとされるサプリメントはいくつか存在します。例えば、リンを吸着して排出を助ける成分や、腸内環境を整える活性炭、炎症を抑える働きが期待されるオメガ3脂肪酸などです。
しかし、サプリメントも愛犬の状態によっては合わない場合があります。必ず自己判断で与えず、かかりつけの獣医師に相談し、適切なものを処方してもらいましょう。
まとめ:獣医師と相談しながら愛犬に合った食事管理を
犬の腎臓病の食事管理は、飼い主さんにとって根気のいる、そして時には悩みの多い道のりかもしれません。しかし、日々の適切な食事は、愛犬の腎臓への負担を和らげ、穏やかな毎日を支えるための最も効果的なケアの一つです。
大切なのは、飼い主さん一人で抱え込まないこと。この記事でご紹介したポイントや対策を参考にしつつ、必ずかかりつけの獣医師という心強いパートナーと相談しながら、愛犬にとって最適な食事プランを見つけていきましょう。あなたの愛情のこもったケアが、愛犬の未来を支える大きな力になります。
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