犬の腎臓病の食事ガイド|食べて良いもの・悪いもの、療法食の選び方を解説

犬の腎臓病の食事ガイド|食べて良いもの・悪いもの、療法食の選び方を解説

Table of Contents

 

  • 犬の腎臓病の食事管理は、腎臓への負担を減らし、残された腎機能の維持をサポートすることが目的です。
  • 食事の基本は「タンパク質」「リン」「ナトリウム」を適切に制限し、「オメガ3脂肪酸」などを積極的に摂ることです。
  • 療法食が基本ですが、食欲がない時は温めたりトッピングを工夫したりすることが大切です。
  • 手作り食は栄養バランスの調整が難しいため、必ず獣医師に相談しながら進めましょう。

愛犬が腎臓病と診断されたら…まず知っておきたい食事の基本

ある日突然、愛犬が「腎臓病」と診断されたら…。飼い主さんは大きな不安と戸惑いでいっぱいになることでしょう。「これからどうすればいいの?」「食事は何をあげたらいいの?」そのお気持ち、とてもよく分かります。

腎臓病のケアにおいて、毎日の食事管理は非常に重要です。この記事では、まず何から始めれば良いのか、犬の腎臓病における食事の基本的な考え方と、具体的なポイントを分かりやすく解説します。一緒に、愛犬のための最適な食事を見つけていきましょう。

なぜ食事管理が重要? 腎臓病の犬のための食事療法の目的

腎臓病のケアで、獣医師からまず指導されるのが「食事療法」です。なぜ、お薬だけでなく食事がこれほど大切なのでしょうか。その目的は大きく2つあります。

腎臓の負担を減らし、病気の進行を穏やかにする

腎臓は、体内の老廃物をろ過して尿として排出する大切な役割を担っています。しかし、腎臓病になるとその機能が低下し、老廃物をうまく排出できなくなります。

食事療法は、体内で作られる老廃物の量をコントロールすることで、弱った腎臓への負担を直接的に減らすことを目指します。これにより、腎臓への負担を軽減し、愛犬が健やかに過ごせる時間を延ばすためのサポートにつながるのです。

尿毒症の症状を和らげ、QOL(生活の質)を維持する

体内に老廃物が溜まると「尿毒症」という状態になり、食欲不振や吐き気、元気消失といった様々な症状を引き起こします。これは愛犬にとって非常につらい状態です。

栄養バランスを調整した食事は、尿毒症の原因となる物質の発生による体調不良のリスク軽減につながると考えられています。つらい症状が出た際の負担を軽減し、愛犬が「おいしくごはんを食べて、毎日を少しでも快適に過ごす」というQOL(生活の質)を維持することが、食事療法のもう一つの大切な目的です。

犬の腎臓病における食事療法の4つの基本ポイント

では、具体的にどのような点に気をつければ良いのでしょうか。犬の腎臓病の食事療法には、基本となる4つの大切なポイントがあります。これらを理解することが、フード選びや手作りの第一歩となります。

ポイント1:タンパク質の量を調整する

タンパク質は体を作る上で不可欠な栄養素ですが、分解される際に老廃物を生み出します。腎機能が低下していると、この老廃物を排出しきれず、体内に蓄積してしまいます。そのため、腎臓病の食事ではタンパク質の「量」を適切に制限することが重要になります。

ただし、極端に減らしすぎると筋肉が落ちてしまうため、アミノ酸バランスの良い「良質なタンパク質」を、必要最低限の量で与えることが理想です。自己判断で過度な制限はせず、必ず獣医師の指導に従いましょう。

ポイント2:リンの摂取量を制限する

リンは骨や歯を作るために必要なミネラルですが、腎臓病の犬ではうまく排出できず、血液中のリン濃度が高くなりがちです。高リン血症は、腎臓病をさらに悪化させる要因の一つとされています。そのため、食事に含まれるリンの量を制限することは、タンパク質の調整と並んで非常に重要です。

多くの療法食は、このリンの含有量が厳密に調整されています。おやつやトッピングを選ぶ際も、リンが少ないものを選ぶよう心がけましょう。

ポイント3:ナトリウムの摂取量を控える

ナトリウム(塩分)の摂りすぎは、高血圧を引き起こす可能性があります。高血圧は腎臓にさらなる負担をかけ、病状を悪化させる一因となり得ます。そのため、食事中のナトリウムは控えめにすることが推奨されます。

人間用の加工食品や味付けされた食べ物は、犬にとって塩分過多になるため、絶対に与えないようにしてください。

ポイント4:積極的に摂りたい栄養素(オメガ3脂肪酸・ビタミンなど)

制限だけでなく、積極的に摂りたい栄養素もあります。特に「オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)」は、腎臓の炎症を抑え、腎機能の維持をサポートする働きが期待されています。魚油などに多く含まれており、サプリメントで補うことも有効です。

また、腎臓病では尿と一緒に水溶性のビタミン(ビタミンB群など)が失われやすいため、これらを適切に補うことも大切です。療法食には、これらの栄養素がバランス良く配合されています。

腎臓病の犬が避けるべき食べ物

愛犬の健康を守るため、腎臓に負担をかける可能性のある食べ物を知っておくことは非常に重要です。普段良かれと思って与えていたものが、実はリスクになることもあります。

ここでは代表的なものをリストアップします。

タンパク質が多すぎる肉・おやつ類

良質なタンパク質は必要ですが、過剰摂取は避けなければなりません。特に、ジャーキーや干し肉、赤身の多い肉などはタンパク質量が非常に多いため注意が必要です。

おやつとして与える場合は、腎臓病用に配慮された製品を選ぶか、獣医師に相談してからにしましょう。

  • ビーフジャーキー、ささみジャーキー
  • 赤身の多い牛肉・豚肉
  • レバーなどの内臓肉

リンを多く含む乳製品・小魚など

リンは多くの食材に含まれていますが、特に含有量が多いものは避けるべきです。チーズや牛乳などの乳製品、骨ごと食べられる小魚、卵の黄身などはリンが高いため、与えるのは控えましょう。

  • チーズ、牛乳、ヨーグルト
  • 煮干し、しらす
  • 卵黄
  • ナッツ類

ナトリウム(塩分)が多い加工食品

人間用に作られた加工食品は、犬にとって塩分が多すぎます。これらは腎臓だけでなく、心臓にも負担をかける可能性があります。愛犬が欲しがっても、与えないように、または厳しく控えるようにしましょう。

  • ハム、ソーセージ、ベーコン
  • パン、ちくわ、かまぼこ
  • 人間用のお菓子や惣菜

カリウムを多く含む一部の野菜・果物

腎臓病が進行すると、カリウムの排出も苦手になることがあります。カリウムは多くの野菜や果物に含まれますが、特に含有量の多いものは注意が必要です。与える際は少量にし、茹でこぼすなどの下処理をするとカリウムを減らすことができます。

  • ほうれん草、かぼちゃ
  • バナナ、メロン、アボカド
  • さつまいも、じゃがいも

腎臓病の犬におすすめの食べ物・食材

制限が多い食事の中でも、工夫次第で与えられる食材はあります。手作り食のトッピングや、食欲がない時のきっかけとして活用できるものを紹介します。ただし、与える際は必ず少量から始め、獣医師に相談してください。

良質なタンパク質源(卵白・鶏ささみなど)

タンパク質源としては、リンが少なくアミノ酸バランスの良いものが適しています。卵白はリンが非常に少なく、優れたタンパク質源です。鶏のささみや胸肉も、皮を取り除き、茹でてから少量与えることができます。

  • 卵白
  • 鶏ささみ・鶏胸肉(皮なし・茹でたもの)
  • 一部の白身魚(タラなど)

エネルギー源となる炭水化物(白米・うどんなど)

タンパク質を制限する分、エネルギーは炭水化物や脂質からしっかり摂る必要があります。白米やうどんは消化が良く、リンも少ないためエネルギー源として使いやすい食材です。サツマイモやジャガイモはカリウムが多いため、与えるなら白米などがおすすめです。

  • 白米(おかゆ状にすると消化しやすい)
  • うどん(塩分を含まないもの)
  • パスタ

与えやすい野菜・果物

野菜や果物を与える際は、カリウムの含有量に注意が必要です。キャベツや白菜、きゅうり、りんごなどは比較的カリウムが少ないため、少量であれば与えやすいでしょう。食物繊維の補給にも役立ちます。

  • キャベツ、白菜、レタス
  • きゅうり、大根
  • りんご(芯と種は除く)、梨

市販の腎臓病療法食の選び方|3つのチェックポイント

犬の腎臓病の食事管理は、栄養バランスが厳密に調整された「療法食」を基本とするのが一般的です。しかし、様々な種類があってどれを選べば良いか迷ってしまいますよね。ここでは、療法食を選ぶ際の3つのポイントを解説します。

1. 獣医師の推奨するフードを選ぶ

最も大切なのは、自己判断で選ばず、必ず獣医師の指示に従うことです。療法食は、病状や進行ステージ、併発している病気など、その子の状態に合わせて選ぶ必要があります。

獣医師は、愛犬の血液検査の数値や体調を総合的に判断し、最適なフードを提案してくれます。まずはかかりつけの獣医師に相談しましょう。

2. 愛犬の好みや食べやすさ(ドライ・ウェット)を考慮する

どんなに栄養的に優れたフードでも、愛犬が食べてくれなければ意味がありません。腎臓病の犬は食欲が落ちやすい傾向があるため、「食べてくれること」は非常に重要です。

ドライフード、ウェットフード(缶詰やパウチ)など形状も様々です。香りが強いウェットフードを好む子も多いので、ドライフードを食べない場合は試してみる価値があります。

3. 【比較表】腎臓病療法食を選ぶ際の栄養成分チェックポイント

療法食を選ぶ際には、パッケージの成分表示を確認する習慣をつけましょう。特に以下の4つのポイントに注目すると、フードの特徴を理解しやすくなります。

栄養成分

チェックポイント

タンパク質

一般的なフードより低く調整されているか

リン

制限されているか(特に重要な指標)

ナトリウム

控えめに調整されているか

オメガ3脂肪酸

腎臓の健康維持のために強化・配合されているか

手作り食は大丈夫?メリットと注意点

「療法食を食べてくれないから、手作りで何とかしたい」と考える飼い主さんもいらっしゃるでしょう。手作り食には、食材を選べるため嗜好性が高く、添加物の心配がないといったメリットがあります。

しかし、腎臓病の食事を手作りで管理するのは、専門的な知識が必要で非常に難しいのが現実です。特に、タンパク質やリン、ナトリウム、カリウムの制限、そして必要なエネルギーやビタミン・ミネラルの確保といった、複雑な栄養バランスを毎日完璧に整えるのは至難の業です。バランスが崩れると、かえって腎臓に負担をかけてしまう危険性もあります。

もし手作り食を検討する場合は、必ず獣医師やペット栄養管理士などの専門家に相談し、指導を受けながらレシピを作成するようにしてください。自己流での手作りは絶対に避けましょう。

愛犬がご飯を食べない…食欲不振のときの工夫

腎臓病が進行すると、尿毒症の影響で食欲が落ちてしまうことがよくあります。食べないからといって諦めず、少しでも口にしてもらえるよう工夫してみましょう。

腎臓病の犬にとって「食べること」は体力を維持するために非常に大切です。食べない状態が続くと、体重が減り、体のタンパク質を分解してエネルギーを作り出そうとするため、かえって腎臓に負担がかかります。まずは少量でも良いので、カロリーを摂取することを優先しましょう。

以下のような工夫を試してみてください。

  • フードを人肌に温める:香りが立って食欲を刺激します。
  • ウェットフードを混ぜる:ドライフードに混ぜたり、トッピングしたりします。
  • 風味付けをする:肉の茹で汁(味付けなし)や、腎臓病用の栄養補助食品を少量かけます。
  • 食事の回数を増やす:一度にたくさん食べられない場合、1日の量を3〜4回に分けて与えます。
  • 手から直接与える:飼い主さんの手からだと安心して食べる子もいます。

食事以外でできること|水分補給と生活環境のケア

腎臓病のケアは、食事だけではありません。日常生活でのサポートも大切です。特に「水分補給」は非常に重要です。

腎臓の機能が落ちると、薄い尿をたくさんするようになるため、脱水しやすくなります。いつでも新鮮な水が飲めるように、水飲み場を複数設置したり、ウェットフードを活用したりして、水分摂取を促しましょう。

また、ストレスは体に様々な影響を与えます。愛犬が安心してリラックスできる静かな環境を整え、穏やかに過ごせるように配慮することも、QOLの維持につながります。

犬の腎臓病の食事に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 腎臓病用の療法食を食べていれば、おやつは与えても大丈夫ですか?

A1. 基本的には療法食以外の食べ物は避けるのが理想です。もしおやつを与える場合は、必ず腎臓病に配慮された専用のものを選び、与える量も1日の摂取カロリーの10%以内にとどめましょう。与える前にかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

Q2. フードを療法食に切り替えるときの注意点はありますか?

A2. 急にフードを変えると、お腹を壊したり警戒して食べなくなったりすることがあります。今まで食べていたフードに新しい療法食を少量混ぜ、1〜2週間かけてゆっくりと割合を増やしていくようにしましょう。

Q3. 腎臓病に良いサプリメントはありますか?

A3. 腎臓の健康維持をサポートするサプリメントはいくつかあります。例えば、リンを吸着して排出を助けるものや、オメガ3脂肪酸を補給するものなどです。ただし、サプリメントも愛犬の状態によって合う・合わないがあります。使用する前には必ず獣医師に相談し、指導のもとで与えるようにしてください。

まとめ:獣医師と相談しながら愛犬に合った食事を見つけましょう

愛犬の腎臓病と向き合うことは、飼い主さんにとって長く、そして不安な道のりかもしれません。しかし、適切な食事管理は、病気の進行を穏やかにし、愛犬のQOLを維持するための最も強力なサポートの一つです。

この記事で紹介したポイントは、あくまで基本的な考え方です。一番大切なのは、かかりつけの獣医師という心強いパートナーとよく相談し、あなたの愛犬にとってベストな食事プランを一緒に見つけていくことです。焦らず、一歩ずつ、愛犬のためにできることから始めていきましょう。

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毎日手軽に取り入れられるサプリメントで、愛犬の健康ケアを習慣に。愛犬の元気な日々をサポートしましょう。

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