犬のヘルニアを徹底解説!症状・原因・治療法と予防のポイント
抱っこしたら、痛そうに「キャン!」と鳴いた。大好きなソファーに飛び乗れなくなった。散歩で歩きたがらない。そんな様子が愛犬に見られたら、それは椎間板ヘルニアかもしれません。
犬の椎間板ヘルニアは、首や腰などに痛みや麻痺が出て、重症化すると日常生活に支障が出たり、手術が必要になったりする場合があります。ただし、早めに治療を開始することで回復の可能性のある病気です。早期発見のためにも、犬の椎間板ヘルニアについて知っておきましょう。
犬のヘルニアってどんな病気?
背骨を滑らかに曲げられるような役割を担う椎間板が損傷し、椎間板の中の組織が飛び出てしまうことにより、神経や脊髄を圧迫することで起こる病気です。
主な症状は痛みと麻痺で、発症部位と進行状態によって症状は異なります。背中から腰にかけての発症が最も多いと言われています。
犬の椎間板ヘルニアの原因は?
犬の椎間板ヘルニアの原因は、主に3つ。激しい運動や外傷によるもの、加齢や遺伝によるものです。
「軟骨異栄養症」の遺伝子を持っている犬は、椎間板ヘルニアになりやすいと言われています。ダックスやコーギーのように胴長の犬種に多く、若い年齢で発症するケースもあります。
発症率の高い犬種
- ミニチュア・ダックスフンド
- トイ・プードル
- フレンチ・ブルドッグ
- チワワ
- ペギニーズ
- ウェルシュ・コーギー
- パグ
- パピヨン
- ビーグル
原因が加齢による場合、比較的ゆっくりと進行します。加齢により椎間板が変性、大きくなって脊柱管内の神経を圧迫するため、すべての犬種で発症する可能性があります。
飼い主さんができるチェックと診断の流れ
犬の椎間板ヘルニアは、早期発見と治療の開始で回復が期待できます。愛犬の様子を観察して、いつもと様子が違うと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
飼い主さんができるチェックポイント
◯グレード1
脊髄の圧迫が軽度の場合、痛みの症状が見られます。麻痺の症状はまだみられません。
【よくある症状】
- 抱っこしたときにキャンと鳴く
- 階段など、段差の昇り降りをしたがらなくなる
- 散歩で歩かなくなる
- 背中を丸めて歩く
- 腰や首を撫でると嫌がる
- 歩き方がおかしい
◯グレード2
グレード1の症状に加え、軽度の麻痺の症状が見られます。
【よくある症状】
- 歩く時にふらつく
- 足を引きずって歩く
- 爪の背面が削れている
- 足先がひっくり返る
◯グレード3~5
麻痺が強くなり、自力で立ち上がったり歩いたりできなくなります。下半身にも影響が出て、自力で排便や排尿ができなくなることもあります。
- 後ろ足を引き摺る
- おもらしなど、排尿・排便の失敗
- 歩行困難
獣医師による診断方法
歩行の状態や病変がどこにあるのかを確認する神経学的検査や、レントゲンやCT、MRIなどを用いた画像検査を行い診断します。画像検査では多くの場合、全身麻酔が必要になるため、高齢の犬や疾患のある犬は注意が必要です。
犬の椎間板ヘルニアの治療法
軽症の場合は、ケージ内で安静にしながら、薬による治療を行います。痛みの緩和などの目的で、鍼治療を併用する動物病院もあります。軽症の場合、内服薬と安静で回復するケースが多いでしょう。ただし、再発率も高いため、その後のケアが重要となります。
薬の治療で思うような効果が出ない場合や、麻痺が進み重症化している、再発を繰り返すなどの場合には、手術が必要となるケースが多いでしょう。
犬のヘルニア予防対策
椎間板ヘルニアが起こる仕組みは不明な点も多く、完全な予防方法はわかっていません。発症のきっかけを減らすためにも、首や腰に負担をかけない生活を心がけましょう。
【飼い主ができる予防対策】
- 適切な体重管理
- 激しい運動を控える
- 縦抱きで抱っこしない
- 床は滑り止め対策をする
- 足裏の毛は肉球にかからないようにカットする
- 体を丸めるような狭い場所に長時間入れない
- 2本足で立たせるなど無理な姿勢をさせない
肥満になると椎間板に大きな負担がかかってしまうため、体重管理は椎間板ヘルニアの対策に欠かせない重要なポイントです。
また、犬の脇に手を入れて抱っこする縦抱きの抱っこは、腰への負担が大きいので避けてください。抱っこする際は、四肢をしっかり持って地面と水平になるようにしましょう。
散歩の時に、首輪につけたリードを引っ張ると首への負担がかかってしまいます。椎間板ヘルニア予防のためには、首輪よりもハーネスの使用がおすすめです。
ヘルニアと診断されたら?快適に暮らすための工夫
環境づくり
ソファーや家の中の段差にはスロープを設置し、ジャンプする機会を減らしましょう。フローリングなどの滑りやすい床には、カーペットや滑り止めマットを敷き、関節に負担のかかならない環境を整えてください。
適度な運動とリハビリ
ケージ内で動かないでいると、筋力が低下し寝たきりになってしまう可能性があります。 ただし、痛みが引いたからといって、自己判断で運動を開始しないようにしてください。症状が改善してきたら、獣医師と相談しながら、適度な運動やリハビリを取り入れましょう。短時間の散歩や、関節に負担をかけない水中での運動療法などが効果的です。
ストレスを減らす
安静にしていることで、ストレスをかかえてしまう犬もいます。体の負担にならない範囲で遊びんであげて、ストレスを解消してあげましょう。
体重管理
安静時期やリハビリ期間など、運動量が減っている次期に、これまでと同じ量の食事を摂っていると体重増加の原因になります。こまめに体重を測り、獣医師と相談しながら食事量を調整し、適正体重をキープするようにしましょう。
犬のヘルニアと向き合い、快適な生活をサポートしよう
犬の椎間板ヘルニアは、早期発見と適切なケアが鍵となります。また、椎間板ヘルニアと診断されても、飼い主さんがしっかりと症状を理解し、適切な対応を取ることで、愛犬の生活の質を大きく向上させることができます。
快適な生活のサポートに、サプリメントを取り入れるのも良いでしょう。痛みや炎症を和らげるには、オメガ3脂肪酸、DHA、EPAなどの抗炎症作用が期待できる成分を含んだサプリメントもおすすめです。
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