愛犬の皮膚トラブル、どうすればいい?主な皮膚病の症状・原因からケア方法まで優しく解説

愛犬の皮膚トラブル、どうすればいい?主な皮膚病の症状・原因からケア方法まで優しく解説

Table of Contents

  • 愛犬の「かゆみ」「赤み」「脱毛」は皮膚トラブルのサインです。早期発見が症状の悪化を防ぎ、愛犬の負担を軽然するのに役立ちます。
  • 皮膚病の原因は細菌、アレルギー、寄生虫など様々。自己判断せず動物病院での診断が重要です。
  • 人や他のペットにうつる病気もあるため、感染リスクへの理解と対策が必要です。
  • 治療費は症状や期間によって異なります。ペット保険の活用も検討しましょう。
  • 自宅でのシャンプーや食事管理は、治療をサポートし、再発しにくい状態を維持するための大きなサポートになります。

「最近、愛犬が体をポリポリとかいてばかりいる…」「皮膚が赤くなっている気がする」そんな愛犬の姿を見て、不安を感じていませんか?言葉を話せないワンちゃんだからこそ、少しの変化でも「重い病気だったらどうしよう」と心配になってしまいますよね。
犬の皮膚病はとても種類が多く、原因もさまざまですが、飼い主さんが早期にサインに気づき、適切なケアをしてあげることで、愛犬の苦痛を和らげることができます。

この記事では、初めて皮膚トラブルに直面した飼い主さんに向けて、チェックすべき症状や代表的な病気、病院での治療費の目安、そして自宅でできるケア方法までを優しく解説します。愛犬の健やかな皮膚を守るために、一緒に学んでいきましょう。

愛犬が体をかゆがっていませんか?皮膚病の主な症状とサイン

犬の皮膚病は、初期段階では毛に隠れて見えにくいことがありますが、愛犬の行動やちょっとした変化が重要なサインとなります。「いつもより体をかいているな」「なんとなくニオイが気になるな」と感じたら、それは皮膚からのSOSかもしれません。

ここでは、飼い主さんが日々のスキンシップの中でチェックできる、主な症状とサインについて解説します。早期発見ができれば、それだけ愛犬の負担を減らすことができますので、まずは愛犬の体を優しくチェックしてみましょう。

かゆみ・赤み・発疹:最も気づきやすいサイン

最も分かりやすいサインは「かゆみ」です。後ろ足で体をかいたり、床や壁に体をこすりつけたり、手足を執拗になめたりしていませんか?これらは強いかゆみを感じている時の行動です。

また、毛をかき分けて皮膚を見てみましょう。健康な皮膚は薄いピンク色をしていますが、炎症が起きていると赤くなっていたり、ポツポツとした赤い発疹(ブツブツ)が見られたりします。特にお腹や脇の下、内股、指の間などは皮膚が薄く、赤みに気づきやすい場所です。かきむしって傷ができる前に、早めの対応が大切です。

脱毛・フケ・カサブタ:毛並みの変化に注目

「最近、抜け毛が多いな」と感じることはありませんか?換毛期以外の時期に大量に毛が抜けたり、体の一部だけ毛が薄くなって地肌が見えていたりする場合は、皮膚病の可能性があります。円形に毛が抜ける場合もあれば、全体的に薄くなる場合もあります。

また、フケが増えるのも皮膚トラブルのサインです。黒っぽい毛のワンちゃんだと、白いフケが目立ちやすくなります。さらに、皮膚を触った時にザラザラとしたカサブタがある場合も要注意です。これらは皮膚のバリア機能が低下していたり、感染症を起こしていたりする可能性があります。

ベタつき・ニオイ:皮膚の脂っぽさと臭い

愛犬を撫でた時に手がベタついたり、シャンプーをしてから日が浅いのに独特のニオイがしたりすることはありませんか?これは、皮膚の脂分(皮脂)が過剰に分泌されているサインかもしれません。

特に、脂っぽいベタつきと同時に、発酵したような酸っぱいニオイや、脂が酸化したようなニオイがする場合は、皮膚の常在菌バランスが崩れている可能性があります。耳の中や指の間、口周りなどは特にニオイが出やすい場所ですので、こまめにチェックしてあげましょう。健康な皮膚はサラッとしていて、強い悪臭はしません。

【種類別】代表的な犬の皮膚病の特徴と原因

「皮膚病」とひとことで言っても、その原因は細菌、カビ、アレルギー、寄生虫など多岐にわたります。原因によって治療法や対処法が全く異なるため、まずは「どんな病気があるのか」を知っておくことが大切です。

ここでは、犬によく見られる代表的な皮膚病について、難しい専門用語をできるだけ噛み砕いて解説します。愛犬の症状に当てはまるものがないか、確認してみてください。

病名

主な原因

特徴的な症状

膿皮症(のうひしょう)

細菌(ブドウ球菌など)

赤いブツブツ、膿、フケの輪

アトピー・アレルギー

環境・食事

強いかゆみ、赤み、慢性化

マラセチア皮膚炎

酵母菌(カビの一種)

ベタつき、独特のニオイ、赤み

皮膚糸状菌症

糸状菌(カビの一種)

円形の脱毛、フケ

疥癬(かいせん)など

ダニ・ノミ

激しいかゆみ、かさぶた

膿皮症(のうひしょう):細菌感染によるブツブツや膿

膿皮症(のうひしょう)は、犬の皮膚病の中で最も一般的と言われる病気の一つです。健康な犬の皮膚にも存在する「ブドウ球菌」などの細菌が、皮膚のバリア機能の低下や傷などをきっかけに異常に増殖することで起こります。

主な症状は、お腹や背中などにできる赤いポツポツ(丘疹)や、膿を持ったニキビのようなもの(膿疱)です。症状が進むと、中心が黒っぽく周りがめくれたような「フケの輪(表皮小環)」が見られることもあります。高温多湿な日本の夏場に特に多く見られますが、免疫力が低下していると季節を問わず発症することがあります。

アトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎:強いかゆみと慢性化

アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎は、体質や環境要因が大きく関わる皮膚病です。「アトピー性皮膚炎」は、花粉やダニなどの環境中の物質に対して過剰に反応してしまうもので、遺伝的な素因も強いとされています。一方、「食物アレルギー」は特定の食べ物に反応して症状が出ます。

特徴は「強いかゆみ」です。目の周り、口周り、耳、脇の下、内股、足先などを執拗にかいたりなめたりします。若いうち(3歳以下)に発症することが多く、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性化しやすいのが特徴です。生涯にわたるケアが必要になることも少なくありません。

マラセチア皮膚炎:酵母菌の増殖によるベタつき

マラセチア皮膚炎は、「マラセチア」という酵母菌(カビの仲間)が増えすぎることで起こる皮膚炎です。この菌も普段から犬の皮膚にいますが、皮脂をエサにするため、脂っぽい皮膚の犬や、湿気の多い時期に増殖しやすくなります。

特徴的なのは、皮膚の「ベタつき」と「独特の脂っぽいニオイ」です。皮膚が赤く腫れ上がり、厚くゴワゴワになったり(苔癬化)、黒ずんだり(色素沈着)することもあります。アトピー性皮膚炎や脂漏症など、他の皮膚トラブルと併発することも多いため、根本的な原因を探ることが重要です。

皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう):カビの一種による脱毛

皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)は、いわゆる「水虫」や「タムシ」の原因となるカビ(真菌)が感染して起こる病気です。免疫力の低い子犬や老犬、体力が落ちている犬に発症しやすい傾向があります。

典型的な症状は、10円玉のような大きさで円形に毛が抜ける「円形脱毛」です。脱毛した部分の周りにフケが出たり、赤くなったりします。かゆみは軽い場合もあれば強い場合もあります。この病気は感染力が強く、同居している他のペットにも広がりやすいため注意が必要です。

疥癬(かいせん)・ノミ・ダニ:寄生虫による激しいかゆみ

目に見えない小さな寄生虫が原因となる皮膚病もあります。「疥癬(かいせん)」は、ヒゼンダニというダニが皮膚の中にトンネルを掘って寄生することで起こり、眠れないほどの「激しいかゆみ」を引き起こすのが特徴です。耳の縁や肘、かかとなどに分厚いカサブタができることがよくあります。

また、ノミやマダニの寄生も皮膚炎の原因となります。特にノミは、吸血による刺激だけでなく、ノミの唾液に対するアレルギー反応(ノミアレルギー性皮膚炎)を引き起こし、背中や腰回りに強いかゆみと湿疹をもたらすことがあります。これらは予防薬で防ぐことができるため、定期的な予防が非常に重要です。

人や他の動物にうつる皮膚病はある?

飼い主さんが心配されることの一つに、「この皮膚病は人や他のワンちゃんにうつるの?」という点があるかと思います。結論から言うと、うつる皮膚病とうつらない皮膚病があります。

アトピー性皮膚炎やアレルギー、ホルモン異常による皮膚病などは、他の動物や人にうつることはありません。しかし、細菌やカビ、寄生虫が原因の場合は、感染するリスクがあります。正しい知識を持って、必要な対策をとることが大切です。

注意が必要な「人獣共通感染症」と対策

犬から人へ、あるいは人から犬へと感染する病気を「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と呼びます。皮膚病の中で特に注意が必要なのは以下のものです。

  • 皮膚糸状菌症(カビ): 人に感染すると、皮膚に赤い輪のような発疹ができ、かゆみを伴います(リングワームとも呼ばれます)。
  • 疥癬(ヒゼンダニ): 人の腕やお腹などに赤い発疹ができ、強いかゆみが出ることがあります(一時的な感染が多いです)。
  • ノミ・ダニ: 人も吸血され、かゆみや皮膚炎を起こすことがあります。

【対策のポイント】
もし愛犬がこれらの病気と診断された、あるいは疑わしい場合は、過度な接触を避け、触った後は必ず石鹸で手を洗いましょう。タオルやベッドの共用は避け、こまめに洗濯・消毒を行います。多頭飼いの場合は、完治するまで部屋を分けるなどの隔離対策が必要になることもあります。

動物病院での検査・治療法と費用の目安

「病院に行くとどんな検査をするの?」「治療費はいくらかかるの?」といった不安から、受診をためらってしまうこともあるかもしれません。しかし、皮膚病は見た目だけで原因を特定するのが難しく、自己判断でのケアはかえって症状を悪化させることもあります。

ここでは、一般的な動物病院での検査の流れや治療法、そして気になる費用の目安について解説します。あらかじめ知っておくことで、落ち着いて受診できるはずです。

病院で行われる主な検査と診断の流れ

動物病院では、まず問診で「いつから」「どこを」「どのくらい痒がっているか」「食事内容」などを詳しく聞かれます。その後、以下のような検査を組み合わせて原因を探ります。

  • 視診・触診: 皮膚の状態、毛並み、ノミの有無などを直接確認します。
  • 皮膚掻爬(そうは)検査: 皮膚の表面を少し削り、顕微鏡でダニなどの寄生虫がいないか確認します。
  • スタンプ検査・テープ検査: 皮膚にスライドガラスやテープを押し当て、細菌やマラセチア、炎症細胞の状態を顕微鏡で見ます。
  • 真菌培養検査: カビ(糸状菌)の感染が疑われる場合、毛を採取して菌を培養します。
  • 血液検査・アレルギー検査: アトピーやホルモン異常、内臓疾患が疑われる場合に行います。
  • 一般的な治療法(内服薬・外用薬・薬浴など)

診断結果に基づいて、その子に合った治療プランが提案されます。

  • 内服薬: 抗生物質(細菌用)、抗真菌薬(カビ用)、駆虫薬(寄生虫用)、かゆみ止め(ステロイドや免疫抑制剤など)が処方されます。
  • 外用薬: 塗り薬や点耳薬などを、患部に直接塗布します。局所的な症状に効果的です。
  • 薬浴(シャンプー療法): 薬用シャンプーを使って、皮膚の汚れや菌を洗い流し、保湿を行います。皮膚の状態に合わせて、殺菌性、角質溶解性、保湿性などのシャンプーを使い分けます。
  • 食事療法: 食物アレルギーが疑われる場合は、アレルゲンを含まない療法食に切り替えることがあります。

治療にかかる費用の相場とペット保険の活用

治療費は、病院や犬のサイズ、病気の種類によって異なりますが、目安としては以下の通りです。

  • 初診料・再診料: 1,000円〜2,000円程度
  • 各種検査費用: 1,000円〜5,000円程度(アレルギー検査などは15,000円〜30,000円ほどかかる場合も)
  • お薬代(1週間分): 2,000円〜5,000円程度
  • 薬用シャンプー代: 2,000円〜4,000円程度

軽度の皮膚炎であれば1回の通院(数千円〜1万円程度)で済むこともありますが、アトピー性皮膚炎のような慢性の病気では、毎月の通院とお薬代がかかり続けることになります。こうした長期的な出費に備えるためにも、ペット保険への加入を確認しておくと安心です。皮膚病は保険の対象となることが多いですが、加入プランや免責事項をよく確認しておきましょう。

自宅でできる!愛犬の皮膚の健康維持とケア方法

動物病院での治療が基本ですが、ご自宅でのケアも愛犬の皮膚の健康を維持するために非常に重要です。「治す」ことは獣医師の役割ですが、飼い主さんは日々のケアで治療を「サポート」し、再発しにくい環境を作ってあげることができます。

ここでは、今日から始められる具体的なケア方法をご紹介します。愛犬とのコミュニケーションの一環として、無理なく取り入れてみてください。

正しいシャンプーの選び方と洗い方のコツ

皮膚トラブルがある場合、シャンプー選びと洗い方はとても大切です。人間用のシャンプーは洗浄力が強すぎるため、必ず犬用、できれば低刺激のアミノ酸系や、獣医師に勧められた薬用シャンプーを使いましょう。

洗い方のポイント
ゴシゴシこするのは厳禁です。泡立てネットなどで作ったたっぷりの泡で、皮膚を包み込むように優しく洗います。お湯の温度は37度〜38度くらいの「ぬるま湯」がベスト。熱すぎるとかゆみが増してしまいます。すすぎ残しは皮膚炎の原因になるので、時間をかけて丁寧に流し、最後はドライヤーで地肌までしっかりと乾かしましょう。

食事管理と栄養サポート:内側からのケア

皮膚は食べたものから作られます。バランスの取れた良質な食事を与えることが、健康な皮膚バリアの維持につながります。特に、皮膚の健康維持に役立つとされる必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6など)や良質なタンパク質などが、バランス良く含まれたフードを選ぶことも一つの方法です。

食物アレルギーがある場合は、獣医師の指示に従って除去食試験や療法食を徹底することが、一番のケアになります。おやつに含まれる成分にも注意が必要です。

生活環境の整備:湿度管理と掃除のポイント

皮膚病の原因となる細菌やカビ、ダニは、高温多湿で不衛生な環境を好みます。愛犬が過ごす部屋の環境を見直してみましょう。

  • 湿度管理: 湿度が60%を超えるとカビやダニが増えやすくなります。除湿機やエアコンを活用して、快適な湿度(50%前後)を保ちましょう。
  • 寝床の掃除: 愛犬が使うベッドや毛布は、皮脂やフケが溜まりやすい場所です。こまめに洗濯し、天日干しをして清潔を保ちましょう。
  • 掃除機がけ: ノミの卵やダニの死骸、ハウスダストを取り除くため、丁寧な掃除機がけが有効です。

皮膚病にかかりやすい犬種と年齢の傾向

犬種や年齢によっても、皮膚病のかかりやすさや傾向が異なります。ご自身の愛犬が当てはまるかチェックし、リスクを知っておくことで予防に役立てましょう。

  • フレンチ・ブルドッグ、パグ、シー・ズーなど: 顔や体のシワの間に汚れがたまりやすく、細菌感染(膿皮症など)を起こしやすい傾向があります。また、脂っぽい肌質の犬種はマラセチア皮膚炎にも注意が必要です。
  • 柴犬、ゴールデン・レトリーバー、トイ・プードルなど: アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の好発犬種として知られています。
  • 子犬・老犬: 免疫力が不安定な子犬や、免疫力が低下してくるシニア犬は、ニキビダニ症や皮膚糸状菌症などの感染症にかかりやすくなります。また、シニア犬はホルモンバランスの乱れによる皮膚トラブルも増えてきます。
  • 犬の皮膚病に関するよくある質問(FAQ)
人間用の皮膚薬やオロナインを塗っても大丈夫ですか?

自己判断で人間用の薬を使用するのは避けましょう。犬と人間では皮膚のpHや薄さが異なり、成分によっては中毒を起こしたり、症状を悪化させたりする危険があります。必ず動物病院で処方された薬を使用してください。

皮膚病は他の犬にうつりますか?

原因によります。アレルギーやホルモン異常などはうつりませんが、ノミ・ダニなどの寄生虫や、皮膚糸状菌症(カビ)などは他の犬に感染するリスクが高いです。診断がつくまでは、他の犬との接触を控えることをおすすめします。

フードを変えれば皮膚病は治りますか?

食物アレルギーが原因の場合は、適切なフードに変えることで皮膚の状態が良好になることが期待できます。しかし、細菌感染や寄生虫などが原因の場合はフードだけでは改善しません。まずは原因を特定することが先決です。

まとめ:早期発見と適切なケアで愛犬の皮膚を守りましょう

愛犬の皮膚トラブルは、飼い主さんにとっても心配なものです。しかし、日々の観察で「かゆみ」や「赤み」などのサインに早く気づき、動物病院で適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、愛犬の快適な生活を取り戻すことができます。

コントロールが難しい病気もありますが、獣医師と相談しながら、シャンプーや食事、環境作りなど、ご自宅でできるケアを続けていくことが大きな支えになります。焦らず、愛犬のペースに合わせて、優しくサポートしてあげてくださいね。

 

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