犬の膿皮症とは?飼い主が知っておきたい症状・原因・ケア方法を解説
Table of Contents
- これって膿皮症?愛犬にこんな症状はありませんか?
- 皮膚に見られる初期サインのチェックリスト
- 症状が進行した場合の変化
- 犬の膿皮症とは?皮膚で何が起きているの?
- 皮膚のバリア機能の低下が引き金に
- 膿皮症の3つのタイプ:深さによる症状の違い
- なぜ膿皮症に?考えられる主な原因
- アレルギーやアトピー性皮膚炎などの基礎疾患
- ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下
- 高温多湿な環境や不適切なスキンケア
- 膿皮症になりやすい犬種
- 動物病院で行われる診断の流れ
- 問診と視診で皮膚の状態を確認
- 原因菌を特定するための皮膚検査
- 犬の膿皮症における一般的なケアと治療の選択肢
- 内服薬や外用薬による細菌へのアプローチ
- 薬用シャンプーを使ったスキンケア
- 治療期間と費用の目安
- 再発を防ぐために。自宅でできるケアと予防法
- 薬用シャンプーの正しい使い方と選び方のポイント
- 皮膚の健康をサポートする食事の工夫
- 生活環境を清潔に保つことの重要性
- まとめ:愛犬の皮膚のサインに気づいたら、早めに動物病院へ
- 犬の膿皮症に関するよくあるご質問(FAQ)
- 犬の膿皮症は、皮膚のバリア機能の低下により常在菌が異常増殖して起こる一般的な皮膚トラブルです。
- 主な症状には、赤いブツブツ、膿、フケ、かゆみ、脱毛などがあり、初期サインのチェックが重要です。
- 原因はアレルギーやホルモンバランスの乱れなど様々で、根本的な要因を見つけるために動物病院での診断が不可欠です。
- ケアは薬用シャンプーや内服薬が中心となり、再発予防には適切なスキンケア、食事、生活環境の管理が鍵となります。
愛犬が体をしきりに掻いていたり、皮膚に赤いブツブツやフケを見つけたりすると、「何か悪い病気なのかな?」と、とても心配になりますよね。もしかしたら、その症状は多くの犬が経験する皮膚トラブル「膿皮症(のうひしょう)」かもしれません。
膿皮症は決して珍しいものではありませんが、放置すると症状が広がってしまうこともあります。
この記事では、愛犬の皮膚トラブルに不安を感じている飼い主さんに向けて、犬の膿皮症とは何か、その症状や原因、そして動物病院でのケアやご自宅でできる予防法まで、優しく、わかりやすく解説します。愛犬のサインを正しく理解し、不安を少しでも和らげるお手伝いができれば幸いです。
これって膿皮症?愛犬にこんな症状はありませんか?

愛犬の皮膚に異変を見つけたとき、それが何なのかわからず不安になるのは当然のことです。犬の膿皮症は、皮膚の健康を守る「バリア機能」が何らかの理由で弱まったときに、皮膚にもともといる常在菌(主にブドウ球菌)が異常に増えてしまい、炎症を引き起こす状態を指します。
これは犬にとって最も一般的な皮膚感染症の一つであり、多くの犬が一生に一度は経験するともいわれています。
膿皮症は、皮膚の表面で起こる軽度なものから、皮膚の奥深くまで炎症が及ぶ重度なものまで様々です。初期の段階では、飼い主さんが気づきにくい小さな変化であることも少なくありません。しかし、かゆみや違和感から愛犬が患部を舐めたり掻いたりすることで、症状が悪化し、さらに皮膚のバリア機能を傷つけてしまうという悪循環に陥ることもあります。
だからこそ、日頃から愛犬の皮膚の状態をチェックし、些細なサインを見逃さないことが大切です。次のチェックリストを参考に、愛犬の皮膚を優しく観察してあげましょう。
皮膚に見られる初期サインのチェックリスト
膿皮症のサインは、体の様々な場所に見られます。特に、お腹や内股、脇の下、指の間など、皮膚がこすれやすく湿気がたまりやすい場所は注意が必要です。愛犬とのふれあいの時間に、以下のような変化がないかチェックしてみてください。
- 赤いポツポツ(丘疹):ニキビのような小さな赤い発疹が皮膚に見られます。
- 膿を持ったできもの(膿疱):丘疹の中心に黄色い膿が溜まっている状態です。
- フケの増加:普段よりフケが多く、被毛が粉っぽく見えることがあります。
- 円形に広がるフケや脱毛(表皮小環):膿疱が破れた後、円形にフケが輪のように広がり、中心部が少し治ったように見える特徴的な症状です。
- 皮膚の赤み:特定の範囲の皮膚が全体的に赤みを帯びています。
- 強いかゆみ:体を頻繁に掻く、床にこすりつける、同じ場所を執拗に舐める・噛むといった行動が見られます。
- 皮膚のベタつきや独特のニオイ:皮脂の分泌が過剰になり、皮膚がベタついたり、普段とは違うニオイがしたりします。
症状が進行した場合の変化
初期のサインに気づかず、適切なケアが行われないまま症状が進行すると、皮膚の状態はさらに悪化してしまうことがあります。炎症が皮膚の深い層にまで達すると、愛犬の苦痛も大きくなります。進行したケースでは、以下のような変化が見られることがあります。
- 広範囲にわたる脱毛
- 皮膚が厚く、硬くなる
- 皮膚の色が黒ずむ(色素沈着)
- 痛みや出血を伴う
- 熱を持つ、腫れる
このような状態になる前に、初期の段階で動物病院に相談することが、愛犬の負担を軽くする上で非常に重要です。
犬の膿皮症とは?皮膚で何が起きているの?

「膿皮症」という言葉を聞くと、少し怖いイメージを持つかもしれませんが、その正体は「皮膚の細菌感染症」です。私たちの皮膚にも様々な菌がいますが、それらとバランスを取りながら健康な状態を保っています。犬の皮膚も同じで、特に「ブドウ球菌」という種類の細菌が常在菌として存在しています。
普段、これらの菌は悪さをすることなく、おとなしくしています。しかし、皮膚の健康を守る「バリア機能」が低下すると、このブドウ球菌が「待ってました」とばかりに過剰に増殖し始めます。増えすぎた細菌が皮膚の組織に侵入し、炎症やかゆみ、膿といったトラブルを引き起こすのです。
つまり、膿皮症はどこかから特別な菌に感染したというよりは、もともと皮膚にいた菌とのバランスが崩れてしまった結果として起こる、内側からの問題と考えることができます。そのため、なぜ皮膚のバリア機能が弱まってしまったのか、その根本的な原因を探ることが、ケアの上でとても大切になります。
皮膚のバリア機能の低下が引き金に
犬の皮膚は、私たちが思う以上にデリケートです。健康な皮膚は、角質層と皮脂膜によって構成される「バリア機能」を持っており、外部からの刺激(アレルゲン、細菌、紫外線など)の侵入を防ぎ、同時に体内の水分が逃げないように守っています。このバリアが正常に働いている限り、常在菌が異常に増えることはありません。
しかし、アレルギーによるかゆみで皮膚を掻き壊してしまったり、ホルモンバランスの乱れで皮膚の新陳代謝がうまくいかなくなったり、あるいは不適切なシャンプーで皮脂を取りすぎてしまったりすると、このバリア機能は簡単に低下してしまいます。バリアが壊れた皮膚は無防備な状態となり、細菌の増殖を許してしまうのです。
膿皮症の3つのタイプ:深さによる症状の違い
膿皮症は、細菌感染が皮膚のどの深さまで及んでいるかによって、大きく3つのタイプに分けられます。一般的に、動物病院で診断されるケースの多くは「表在性」です。それぞれの特徴を理解しておくと、獣医師の説明もより分かりやすくなるでしょう。
|
タイプ |
感染の深さ |
主な症状・特徴 |
|---|---|---|
|
表面性膿皮症 |
皮膚の一番外側(角質層) |
皮膚のひだやしわの部分に赤みやベタつきが見られる。かゆみは軽度なことが多い。 |
|
表在性膿皮症 |
表皮や毛包(毛穴) |
最も一般的なタイプ。赤いブツブツ(丘疹)、膿疱、円形のフケ(表皮小環)が見られる。 |
|
深在性膿皮症 |
真皮や皮下組織 |
皮膚の深い部分まで感染が及んだ重い状態。強い痛みや腫れ、出血、膿の塊(癤:せつ)が見られることがある。 |
深在性膿皮症まで進行すると、ケアにも時間がかかり、皮膚に痕が残ってしまうこともあります。そのため、表在性の段階でしっかりと対応することが重要です。
なぜ膿皮症に?考えられる主な原因

愛犬が膿皮症になってしまったとき、「どうしてうちの子が?」と考える飼い主さんは多いでしょう。膿皮症は、それ自体が独立した病気というよりも、何か他の根本的な問題が引き金となって発症する「二次的な疾患」であることがほとんどです。つまり、皮膚のバリア機能を低下させてしまう「本当の原因」がどこかに隠れているのです。
その原因は一頭一頭異なり、アレルギーのような体質的なものから、他の病気、あるいは日々の生活環境まで、多岐にわたります。再発を繰り返す場合は特に、この根本原因を特定し、適切に対処しない限り、いくら皮膚の細菌を管理しても、また同じことを繰り返してしまいます。
動物病院では、皮膚の症状をケアすると同時に、この「なぜ?」を突き止めるための検査や問診が行われます。ここでは、膿皮症の引き金として考えられる主な原因をいくつかご紹介します。愛犬に当てはまるものがないか、考えてみましょう。
アレルギーやアトピー性皮膚炎などの基礎疾患
犬の膿皮症の背景として最も多い原因の一つが、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎です。食べ物やハウスダスト、花粉といったアレルゲンに対して免疫が過剰に反応し、皮膚に強いかゆみが生じます。
その結果、愛犬は皮膚を掻いたり舐めたりしてしまい、その物理的な刺激によって皮膚のバリア機能が破壊されます。傷ついた皮膚は、細菌にとって格好の侵入・増殖場所となり、二次的に膿皮症を発症してしまうのです。アレルギー体質の犬は、季節の変わり目などに膿皮症を繰り返しやすいため、長期的な体質管理が必要になります。
ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下
体の調子を整えるホルモンのバランスが崩れる病気も、膿皮症の引き金となります。例えば、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足する病気)や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群とも呼ばれ、副腎皮質ホルモンが過剰になる病気)などです。
これらの病気は、皮膚の新陳代謝を悪化させたり、免疫力を低下させたりするため、皮膚が非常に弱く、感染症にかかりやすい状態になります。また、子犬や高齢犬、他の病気で体力が落ちている犬も、免疫力が低いために膿皮症になりやすい傾向があります。
高温多湿な環境や不適切なスキンケア
日本の梅雨から夏にかけての高温多湿な気候は、細菌が繁殖しやすい絶好の環境です。この時期に膿皮症が悪化する犬は少なくありません。また、良かれと思って行っているスキンケアが、実は逆効果になっている場合もあります。
例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーで頻繁に体を洗うと、皮膚を守るべき皮脂まで奪ってしまい、バリア機能を低下させます。逆に、シャンプー後に被毛を濡れたまま放置すると、皮膚が蒸れて細菌の温床となってしまいます。正しい知識に基づいたスキンケアが重要です。
膿皮症になりやすい犬種
特定の犬種は、その体の特徴や遺伝的な素因から、膿皮症になりやすい傾向があるとされています。例えば、フレンチ・ブルドッグやパグ、シー・ズーのように皮膚にしわが多い犬種は、しわの間に湿気がたまりやすく、細菌が増殖しやすいため注意が必要です。
また、柴犬やゴールデン・レトリーバー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどは、アトピー性皮膚炎の好発犬種としても知られています。
動物病院で行われる診断の流れ

愛犬の皮膚に異常を見つけて動物病院へ行くと、どのようなことが行われるのでしょうか。初めての経験だと、何をされるのか分からず不安に感じるかもしれません。しかし、正確な診断は適切なケアへの第一歩です。獣医師は、ただ膿皮症であると判断するだけでなく、その背景にある根本的な原因を探るために、いくつかのステップを踏んで診察を進めます。
ここでは、一般的な診断の流れを解説します。事前に流れを知っておくことで、飼い主さんも落ち着いて診察に臨むことができ、愛犬に関する情報をより正確に獣医師に伝える助けになるでしょう。
問診と視診で皮膚の状態を確認
診察は、まず飼い主さんへの「問診」から始まります。いつから症状があるか、かゆみの程度、食事内容、普段の生活環境、過去の病歴など、詳しく質問されます。これらの情報は、原因を探る上で非常に重要な手がかりとなります。
次に、獣医師が愛犬の全身をくまなく観察する「視診」を行います。発疹の種類や分布、脱毛のパターン、皮膚の色などを丁寧にチェックし、皮膚で何が起きているのかを視覚的に評価します。この段階で、膿皮症が強く疑われることが多いです。
原因菌を特定するための皮膚検査
視診で膿皮症が疑われた場合、次に皮膚の表面にいる細菌や細胞を調べるための検査が行われます。最も一般的に行われるのが「スタンプ検査」や「テープストリップ検査」と呼ばれる細胞診です。
これは、スライドガラスやセロハンテープを病変部に直接押し当てて、皮膚表面の細胞や細菌を採取し、顕微鏡で観察する方法です。この検査により、細菌(特に球菌)が異常に増殖しているか、また炎症細胞がいるかなどを確認できます。
もし膿皮症が重度であったり、何度も再発を繰り返したり、一般的なお薬の効きが悪かったりする場合には、「細菌培養感受性試験」という、より詳細な検査が行われることもあります。これは、皮膚から細菌を採取して培養し、原因となっている菌の種類を特定すると同時に、どの抗菌薬がその菌に有効かを調べる検査です。これにより、より効果的なお薬を選択することが可能になります。
犬の膿皮症における一般的なケアと治療の選択肢
動物病院で犬の膿皮症と診断された場合、そのケアは主に「増えすぎた細菌をコントロールすること」と「皮膚のバリア機能をサポートすること」、そして「根本的な原因に対処すること」の3つの柱で進められます。症状の重さや範囲、そして背景にある原因によって、獣医師は最適なプランを組み立てます。
ここで大切なのは、飼い主さんがケアの目的を理解し、獣医師の指示に従って根気強く続けることです。特に、症状が少し良くなったからといって自己判断でお薬やシャンプーをやめてしまうと、再発や悪化の原因となることがあります。愛犬の皮膚が本来の健康を取り戻すまで、獣医師と二人三脚で取り組んでいきましょう。
ここでは、一般的に行われるケアの選択肢についてご紹介します。
内服薬や外用薬による細菌へのアプローチ
皮膚の細菌感染が広範囲に及んでいたり、症状が重かったりする場合には、抗菌薬(抗生物質)の内服が選択されることが一般的です。これにより、体の内側から細菌の増殖を抑え込みます。獣医師から処方された抗菌薬は、必ず指示された期間、用法用量を守って最後まで飲ませ切ることが非常に重要です。症状が改善したように見えても、皮膚の奥にはまだ細菌が残っている可能性があり、途中で投薬をやめると再発したり、薬が効きにくい耐性菌を生み出す原因になったりします。
症状が軽度で局所的な場合は、抗菌作用のある塗り薬やスプレーなどの外用薬が処方されることもあります。
薬用シャンプーを使ったスキンケア
膿皮症のケアにおいて、薬用シャンプーを用いたスキンケアは非常に重要な役割を果たします。これは単なる洗浄目的ではなく、積極的な皮膚のケアの一環です。抗菌成分や殺菌成分を含むシャンプーは、皮膚表面の余分な細菌や皮脂、フケ、アレルゲンなどを洗い流し、清潔な状態を保つのに役立ちます。
また、保湿成分が含まれたシャンプーやコンディショナーを併用することで、乾燥しがちな皮膚のバリア機能の維持をサポートします。獣医師が愛犬の皮膚の状態に合ったシャンプーの種類と、適切な使用頻度(週に1〜2回など)を指示してくれますので、その指導に従いましょう。
治療期間と費用の目安
飼い主さんにとって、ケアにかかる期間と費用は大きな関心事だと思います。これらは症状の重症度や根本原因によって大きく異なるため、一概には言えませんが、一般的な目安を知っておくと心づもりができるでしょう。
期間の目安:
単純な表在性膿皮症であれば、一般的に3〜4週間程度の抗菌薬の投与とシャンプー療法で良好な反応が見られることが多いです。しかし、アレルギーやホルモン疾患など基礎疾患が隠れている場合は、その管理が長期にわたるため、膿皮症も再発しやすく、継続的なケアが必要になります。
費用の目安:
初診時には、診察料と皮膚検査料で一般的に5,000円〜15,000円程度かかることが多いです。その後は、処方される内服薬や薬用シャンプーの種類、犬の体重によって費用は変動しますが、月に5,000円〜20,000円程度が目安となるでしょう。
基礎疾患を調べるために血液検査やアレルギー検査などを行う場合は、別途数万円の費用がかかることもあります。あくまで目安として考え、詳細はかかりつけの動物病院にご確認ください。
再発を防ぐために。自宅でできるケアと予防法

動物病院でのケアによって愛犬の皮膚がきれいになった後も、油断は禁物です。特に、膿皮症の背景にアレルギーなどの体質的な問題がある場合、再発のリスクは常に存在します。膿皮症と上手に付き合っていくためには、日々の生活の中での予防的なケアが何よりも大切になります。
飼い主さんがご自宅でできることは、実はたくさんあります。正しいスキンケアを習慣にし、皮膚の健康を内側から支える食事を心がけ、愛犬が過ごす環境を清潔に保つこと。これらの地道な積み重ねが、皮膚のバリア機能を強くし、細菌の異常増殖を防ぐことにつながります。
ここでは、愛犬を膿皮症の再発から守るために、今日から始められる具体的なホームケアと予防法について詳しく解説します。
薬用シャンプーの正しい使い方と選び方のポイント
薬用シャンプーは、再発予防においても強力な味方です。ただし、その効果を最大限に引き出すには、正しい使い方をマスターする必要があります。
まず、シャンプーは必ず獣医師に推奨された、愛犬の皮膚の状態に合ったものを選びましょう。そして、以下の手順を参考に、優しく丁寧にシャンプーしてあげてください。
- ブラッシング:シャンプー前に全身をブラッシングし、抜け毛や毛玉、大きな汚れを取り除きます。
- 予洗い:35℃前後のぬるま湯で、皮膚と被毛を十分に濡らします。
- シャンプー:シャンプーを直接皮膚につけず、手やスポンジでよく泡立ててから、指の腹でマッサージするように優しく洗います。
- 薬浴:泡をつけたまま、獣医師に指示された時間(通常5〜10分)放置します。この時間で有効成分が皮膚に浸透します。
- すすぎ:シャンプー剤が残らないよう、ぬるま湯で徹底的にすすぎます。特に脇や指の間は残りやすいので注意しましょう。
- 保湿と乾燥:保湿スプレーなどで潤いを補給した後、タオルで優しく水分を吸い取り、ドライヤーの冷風や低温の風で根本からしっかりと乾かします。生乾きは細菌繁殖の原因になるので禁物です。
皮膚の健康をサポートする食事の工夫
健康な皮膚と被毛は、バランスの取れた栄養から作られます。日々の食事が、皮膚のバリア機能を内側から支える力になります。特に、皮膚の健康維持に役立つとされる栄養素を意識的に取り入れることは、再発予防のサポートにつながります。
- オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸:これらの必須脂肪酸は、皮膚の潤いを保ち、炎症反応を穏やかにする働きをサポートするとされています。青魚や亜麻仁油などに含まれます。
- 亜鉛、ビタミン類:皮膚の新陳代謝を助け、健康な状態を維持するために不可欠な栄養素です。
これらの栄養素は、高品質なドッグフードに含まれていることが多いですが、皮膚の健康に特化した療法食やサプリメントの活用も選択肢の一つです。
ただし、食事の変更やサプリメントの追加は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから行いましょう。
生活環境を清潔に保つことの重要性
愛犬が多くの時間を過ごす生活環境を清潔に保つことも、皮膚への刺激を減らし、再発を予防するために重要です。ハウスダストやノミ、ダニなどはアレルギーの原因となり、皮膚のバリア機能を低下させる引き金になります。
- 愛犬のベッドやブランケット、おもちゃはこまめに洗濯しましょう。
- 室内の掃除や換気を定期的に行い、ほこりやカビの発生を防ぎましょう。
- エアコンなどを活用して、室内の温度と湿度を快適なレベル(湿度50〜60%が目安)に保つことも、皮膚への負担軽減に役立ちます。
まとめ:愛犬の皮膚のサインに気づいたら、早めに動物病院へ
犬の膿皮症は、多くの犬が経験する身近な皮膚トラブルですが、その背景には様々な原因が隠れていることがあります。愛犬の体を掻く姿や皮膚の赤みは、体からの重要なサインです。この記事でご紹介したチェックリストを参考に、日頃から愛犬の皮膚の状態を観察する習慣をつけましょう。
そして、もし何か異常に気づいたら、自己判断で様子を見たりせず、できるだけ早く動物病院を受診してください。早期に適切な診断とケアを受けることが、症状の悪化を防ぎ、愛犬の負担を最小限に抑えるための最善の方法です。獣医師と協力しながら、愛犬が快適な毎日を送れるようサポートしてあげましょう。
犬の膿皮症に関するよくあるご質問(FAQ)
膿皮症は他の犬や人間にうつりますか?
一般的に、犬の膿皮症が他の健康な犬や人間にうつることはありません。原因となるブドウ球菌は、もともとその犬の皮膚にいる常在菌だからです。ただし、極端に免疫力が低下している人や、皮膚に傷がある場合は注意が必要です。愛犬の皮膚をケアした後は、手を洗う習慣をつけるとより安心です。
薬用シャンプーはどのくらいの頻度で使えばいいですか?
薬用シャンプーの使用頻度は、愛犬の皮膚の状態や症状の重さによって大きく異なります。獣医師が皮膚の状態を診て、週に2回、週に1回、2週間に1回など、最適な頻度を指示してくれます。自己判断で頻度を変えず、必ず獣医師の指導に従ってください。
膿皮症は一度なると癖になりますか?
膿皮症は「癖になる」というよりは「再発しやすい」皮膚トラブルです。特に、アレルギー性皮膚炎やホルモンの病気といった根本的な原因が体に残っている場合、皮膚のバリア機能が低下しやすいため、何度も繰り返すことがあります。だからこそ、症状が治まった後も、根本原因の管理と日々の予防ケアを継続することが非常に大切になります。
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