猫が病院で暴れて連れて行けない…飼い主さんができる原因別の対処法を徹底解説
Table of Contents
- 猫が病院を嫌がって暴れる…その理由、ご存知ですか?
- 過去の経験によるトラウマや恐怖心
- キャリーバッグや車への不慣れと不安
- 飼い主さんの緊張が伝わっている
- 病院に連れて行く前に!自宅でできる「慣らし」トレーニング
- ステップ1:キャリーバッグを「安心できる場所」に変える方法
- 日常的に部屋に置いて自由に出入りさせる
- おやつやおもちゃでポジティブな印象をつける
- ステップ2:洗濯ネットを活用してスムーズに移動するコツ
- ストレスを和らげるアイテムの活用(フェロモン製剤など)
- 通院当日!猫のストレスを最小限にするための4つのポイント
- ポイント1:飼い主さんが落ち着いて行動する
- ポイント2:出発直前にキャリーに入れる
- ポイント3:移動中の車内環境を整える
- ポイント4:病院での待ち時間を工夫する
- 診察室で暴れる場合の対処法と獣医師への伝え方
- 事前に猫の性格や状況を電話で伝えておく
- 洗濯ネットに入れたまま診察してもらう
- 鎮静剤などの選択肢について相談する
- どうしても病院に連れて行けない…そんな時の最終手段
- 往診サービスを利用する
- オンラインでの獣医師相談を活用する
- 今後のために知っておきたい「猫に優しい病院」の選び方
- キャットフレンドリークリニック(CFC)とは?
- 待合室や診察室の工夫をチェックする
- まとめ:愛猫の健康のために、諦めずにできることから始めよう
- 猫の通院に関するよくあるご質問(FAQ)
- 猫が病院で暴れるのは、過去のトラウマや慣れない環境への恐怖が主な原因です。
- キャリーバッグを「安心できる場所」に変える自宅でのトレーニングが最も重要です。
- 洗濯ネットやフェロモン製剤の活用は、猫のストレスを和らげるのに役立ちます。
- どうしても連れて行けない場合は、往診やオンライン相談という選択肢もあります。
猫が病院を嫌がって暴れる…その理由、ご存知ですか?

愛猫を動物病院へ連れて行こうとしたら、ものすごい勢いで抵抗されてしまい、困り果ててしまった…という経験は、多くの飼い主さんが抱える共通の悩みです。威嚇したり、隠れたり、必死に暴れたりする姿を見ると、無理に連れて行くのは可哀想に感じてしまいますよね。
しかし、その行動には猫なりの理由があります。まずは愛猫の気持ちを理解することから始めましょう。原因がわかれば、適切な対策も見えてきます。
過去の経験によるトラウマや恐怖心
猫はとても記憶力が良い動物です。過去に病院で痛い思いをしたり、怖い経験をしたりすると、「病院=嫌なことが起こる場所」と強くインプットされてしまいます。一度植え付けられた恐怖心は、なかなか消えるものではなく、病院の匂いや雰囲気を察知しただけでパニックになってしまうこともあります。
キャリーバッグや車への不慣れと不安
多くの猫にとって、キャリーバッグは「病院に行く時にだけ入る狭い箱」です。普段見慣れないものに入れられ、揺れる車に乗せられることは、猫にとって大きな不安とストレスになります。自分の縄張りから引き離され、どこに連れて行かれるかわからない状況は、恐怖以外の何物でもないのです。
飼い主さんの緊張が伝わっている
「これから病院だ…暴れるかな…」と飼い主さんが緊張していると、その不安は不思議と愛猫に伝わってしまいます。猫は飼い主さんの声のトーンや表情、匂いの変化を敏感に感じ取ります。飼い主さんの緊張が猫の警戒心をあおり、余計にパニックにさせてしまう悪循環に陥ることがあります。
病院に連れて行く前に!自宅でできる「慣らし」トレーニング

通院当日にいきなりキャリーバッグに入れようとしても、猫が抵抗するのは当然のことかもしれません。大切なのは、病院に行くという特別なイベントではなく、日頃からの「慣らし」です。
ここでは、ご自宅でできる簡単なトレーニング方法をステップごとにご紹介します。少し時間はかかりますが、愛猫のストレスを減らすために、根気強く続けてみましょう。この事前準備が、通院をスムーズにするための最も重要な鍵となります。
ステップ1:キャリーバッグを「安心できる場所」に変える方法
猫にとってキャリーバッグが「怖い箱」ではなく、「お気に入りの隠れ家」になれば、通院のハードルはぐっと下がります。目標は、猫が自らキャリーバッグに入ってくつろいでくれる状態です。焦らず、猫のペースに合わせて進めていきましょう。
日常的に部屋に置いて自由に出入りさせる
まずはキャリーバッグを押し入れなどから出し、リビングなど猫が普段過ごす場所に常に置いておきましょう。扉は開けたまま、あるいは取り外して、いつでも自由に出入りできるようにします。中にお気に入りの毛布やおもちゃ、飼い主さんの匂いがついた服などを入れてあげると、より安心感を抱きやすくなります。「ここは安全で快適な場所だ」と猫自身に認識してもらうことが第一歩です。
おやつやおもちゃでポジティブな印象をつける
キャリーバッグに慣れてきたら、次はおやつやフードを使って良い印象をつけましょう。最初はキャリーの近くに、慣れてきたら入り口に、最終的には中におやつを置いて、猫が自ら入るように誘導します。入れたからといってすぐに扉を閉めず、中でリラックスしておやつを食べられるように見守ってあげましょう。おもちゃで遊ぶ時も、キャリーの周りや中で遊んであげると効果的です。
ステップ2:洗濯ネットを活用してスムーズに移動するコツ
どうしてもキャリーバッグに入ってくれない場合や、診察室で暴れてしまう猫には、「洗濯ネット」が有効な場合があります。粗めのネットに入れることで、猫は適度に視界が遮られ、体が包まれることで少し落ち着くことがあります。また、爪が引っかかりにくく、脱走や引っ掻きのリスクを減らすことができます。猫を優しくなでながら、素早くネットに入れてあげましょう。
ストレスを和らげるアイテムの活用(フェロモン製剤など)
猫の不安を和らげるためのサポートアイテムを活用するのも一つの方法です。猫の頬から分泌されるフェロモンを人工的に再現した製剤は、猫に安心感を与える効果が期待できるとされています。スプレータイプのものを、通院の30分ほど前にキャリーバッグの中に吹き付けておくと、移動中のストレス軽減をサポートしてくれることがあります。ただし、効果には個体差があるため、かかりつけの獣医師に相談してみるのがおすすめです。
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アイテムの種類 |
特徴 |
使用のポイント |
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フェロモン製剤 |
猫が安心するとされるフェロモンを再現したもの。スプレーや拡散器タイプがある。 |
通院前にキャリー内にスプレーする。効果には個体差がある。 |
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サプリメント |
リラックス効果が期待できる成分(L-テアニンなど)が含まれたもの。 |
獣医師に相談の上、通院の数日前から与え始めると良い場合がある。 |
通院当日!猫のストレスを最小限にするための4つのポイント

事前のトレーニングを頑張っても、やはり通院当日は猫も飼い主さんも緊張するものです。ここでは、当日のちょっとした工夫で猫のストレスを少しでも軽くするためのポイントを4つご紹介します。猫の不安を最小限に抑え、できるだけスムーズに病院へ向かえるように準備しましょう。
ポイント1:飼い主さんが落ち着いて行動する
最も大切なのは、飼い主さん自身がリラックスすることです。焦ったり、イライラしたりすると、その気持ちが愛猫に伝わり、不安を増幅させてしまいます。「大丈夫だよ」と優しく声をかけながら、普段通りに接してあげましょう。飼い主さんの落ち着いた態度が、猫にとって一番の安心材料になります。
ポイント2:出発直前にキャリーに入れる
何時間も前からキャリーバッグに閉じ込めておくのは避けましょう。狭い場所に長時間いることは、猫にとって大きなストレスになります。準備をすべて済ませ、家を出る直前に、なるべくスムーズにキャリーバッグへ誘導しましょう。事前のトレーニングができていれば、おやつなどで自然に入ってくれるはずです。
ポイント3:移動中の車内環境を整える
車での移動も猫にとっては非日常的な体験です。キャリーバッグの上からバスタオルなどをかけて外の景色が見えないようにしてあげると、恐怖心が和らぎます。また、急ブレーキや急ハンドルを避け、穏やかな運転を心がけましょう。車内の音楽は消すか、静かな音量にし、大きな声での会話も控えて、静かで安心できる環境を作ってあげることが大切です。
ポイント4:病院での待ち時間を工夫する
動物病院の待合室は、他の犬や猫の匂いや鳴き声で、猫がパニックになりやすい場所です。可能であれば、受付を済ませた後、順番が来るまで車の中や病院の外で待たせてもらえるか相談してみましょう。それが難しい場合は、待合室の隅で、キャリーを他の動物から見えないように壁側に向ける、タオルをかけたままにするなどの工夫で、少しでも刺激を減らしてあげましょう。
診察室で暴れる場合の対処法と獣医師への伝え方

なんとか病院に到着しても、診察室で興奮して暴れてしまうこともあります。そんな時でも、飼い主さんと動物病院が協力すれば、猫の負担を減らしながら診察を進めることが可能です。大切なのは、事前に情報を共有し、連携することです。
ここでは、診察室での具体的な対処法と、獣医師への上手な伝え方をご紹介します。
事前に猫の性格や状況を電話で伝えておく
予約の電話をする際に、「うちの子は病院が苦手で、とても怖がりです」「以前、診察室でパニックになったことがあります」など、事前に猫の性格や状況を伝えておきましょう。情報を共有しておくことで、病院側も心の準備ができます。例えば、他の動物が少ない時間帯を提案してくれたり、すぐに診察室に通してくれたりといった配慮をしてくれる場合があります。
洗濯ネットに入れたまま診察してもらう
移動時に使った洗濯ネットは、診察の際にも役立ちます。ネットに入ったままだと猫は少し安心でき、獣医師や看護師も安全に猫を扱うことができます。簡単な視診や聴診、注射など、多くの処置はネットに入れたまま行うことが可能です。無理にネットから出そうとせず、まずはこの方法で診察できないか獣医師に相談してみましょう。
鎮静剤などの選択肢について相談する
恐怖心が極度に強く、どうしても診察が難しい場合には、鎮静剤や精神安定作用のあるお薬を事前に服用するという選択肢もあります。これは猫の心身への負担を減らし、安全に検査や処置を行うための医療的な判断です。必ず獣医師の診察と処方が必要ですので、「こういう選択肢はありますか?」と飼い主さんから相談してみることも大切です。
どうしても病院に連れて行けない…そんな時の最終手段
あらゆる手を尽くしても、猫の性格やトラウマの深さによっては、どうしても病院に連れて行くのが困難な場合があります。しかし、愛猫の健康を諦める必要はありません。そんな時に検討できる「最終手段」ともいえる選択肢が2つあります。猫と飼い主さん、双方の負担を減らすために、これらのサービスを知っておくことも大切です。
往診サービスを利用する
往診とは、獣医師が自宅まで来て診察してくれるサービスです。猫にとっては、住み慣れた自分の縄張りで診察を受けられるため、移動や慣れない場所でのストレスを大幅に軽減できるという大きなメリットがあります。
ただし、自宅で行える検査や処置には限りがあることや、通常の診察料に加えて往診料がかかる点を理解しておく必要があります。予防接種や定期的な健康チェック、軽度の症状の際に特に有効な選択肢です。
オンラインでの獣医師相談を活用する
最近では、スマートフォンやパソコンを使い、ビデオ通話などで獣医師に相談できるオンラインサービスも増えています。「この症状はすぐに病院へ行くべき?」「日常のケアで気をつけることは?」といった内容を、自宅にいながら気軽に相談できます。直接的な診察や治療はできませんが、専門家のアドバイスを受けることで、飼い主さんの不安が解消されたり、次にとるべき行動が明確になったりします。通院すべきかどうかの判断に迷った時の第一歩として活用するのも良いでしょう。
今後のために知っておきたい「猫に優しい病院」の選び方
愛猫の通院ストレスを根本的に減らすためには、動物病院そのものを見直してみるのも一つの手です。近年、猫の特性に配慮し、ストレスを最小限に抑えるための工夫をしている「猫に優しい病院」が増えてきています。今後のために、どのような視点で病院を選べば良いのかを知っておきましょう。
キャットフレンドリークリニック(CFC)とは?
「キャットフレンドリークリニック(CFC)」とは、国際猫医学会(ISFM)が定めた厳しい基準をクリアした動物病院に与えられる認定です。猫の待合室が犬と分かれている、猫が安心できる診察の工夫がされている、スタッフが猫の行動学に関する知識を持っているなど、猫と飼い主さんのために様々な配慮がされています。かかりつけの病院を選ぶ際の、一つの信頼できる指標となるでしょう。
待合室や診察室の工夫をチェックする
CFC認定を受けていなくても、猫に配慮した工夫をしている病院はたくさんあります。病院のウェブサイトを見たり、電話で問い合わせたりして、以下のような点を確認してみましょう。
- 犬と猫の待合室や診察時間が分かれているか
- 待合室に、キャリーバッグを床以外の高い場所に置ける棚などがあるか
- 診察室から他の動物の鳴き声や匂いがしないように配慮されているか
こうした小さな工夫が、猫のストレスを大きく左右します。
まとめ:愛猫の健康のために、諦めずにできることから始めよう
猫を病院に連れて行くのは、本当に大変なことです。しかし、愛猫が健康で長生きするためには、定期的な健康診断やいざという時の診察が欠かせません。今回ご紹介したように、暴れてしまう原因を理解し、事前のトレーニングや当日の工夫を重ねることで、状況は少しずつ変えていくことができます。
大切なのは、諦めないこと。愛猫の性格に合わせて、できることから一つずつ試してみてください。飼い主さんのその努力が、必ず愛猫の安心につながります。
猫の通院に関するよくあるご質問(FAQ)
洗濯ネットはどんなものでも良いですか?
猫の爪が引っかかりにくい、網目が粗いものがおすすめです。サイズは猫の体にフィットするくらいの、大きすぎないものを選びましょう。猫が中で動き回れるほど大きいと、かえってパニックになることがあります。
病院に行く日は絶食させた方が良いですか?
血液検査や麻酔を伴う処置が予定されている場合は、絶食の指示があることが一般的です。しかし、通常の診察であれば、絶食は必ずしも必要ではありません。むしろ空腹がストレスになることもあります。事前に動物病院に確認するのが最も確実です。
一度暴れると、もう慣れることはないのでしょうか?
そんなことはありません。時間はかかるかもしれませんが、この記事で紹介したような「キャリーバッグを安心できる場所にする」トレーニングなどを根気強く続けることで、猫の印象は少しずつ変わっていきます。焦らず、愛猫のペースでポジティブな経験を積み重ねてあげることが大切です。

